（※写真はイメージです／PIXTA）
AT車しか運転できないのにMT車のハンドルを握る親への支援
このようなコミュニティを私は「トラディショナル・コミュニティ※」と呼んでいるが、これは第3次元の意識を持つ大人が第4次元の務め（ペアレンティングに伴う務めなど）を果たすための、1つの支援のあり方を示している。そこで間断なく提供される第4次元の支援はふつう、誰かが誰かに制限の設け方や境界の維持000の仕方を教えるのではなく、日々の暮らしという「地」に対し「図」としてくっきりと浮かび上がらせるのである（私たちが結びつき、忠誠を尽くす相手なら、頼めばいつでも教えてくれるにちがいないけれども）。
※注
トラディショナル・コミュニティ
トラディショナル・コミュニティ：第3次元の意識で現実を意味構成する人々によるコミュニティ
しかし、制限の設け方や境界の維持の仕方といった「情報」は、日々の暮らしという基本構造あるいは土台のなかに織り込まれて伝えられるほうがさらに多い。人々は、さまざまな状況の1つひとつについてどのように対処すべきとされているかを知り、それが、その人自身もそうすべきだと思う対処法になる。さまざまな状況に対し、そうすべきと思われている方法で対処することは、問題を解決することでもあるが、コミュニティと協調あるいは調和していることのあらわれでもあるのだ。
現在・過去を問わずトラディショナル・コミュニティにこのような仕組みがあることを、私は称賛も批判もするつもりはない。ポストトラディショナルの観点からすれば、今のほうが精神的にずっと自由だと思ってそのようなコミュニティのあり方を下に見る場合もあるだろう。あるいは、現代に確たる拠り所がなく調和が図られていないことに失望し、そのようなコミュニティの精神的な深いつながりに憧れを抱く人もいるかもしれない。だが、実際のトラディショナル・コミュニティに対する私たちの感じ方がどうであれ、また、そのようなトラディショナル・コミュニティが現代の文化に今なおどれくらい存在しているのであれ、そこは大半の現代アメリカ人にとって相容れない場だ。
トラディショナル・コミュニティは、「借用しやすいマインド」という1つの形態であり、第3次元の意識が第4次元の務めを調整するのを支援するかもしれないが、今日の多元的、私生活中心、個人主義的、非宗教的なモダニティ（現代性）はその最も重要な特質として、「伝統」が持つ一枚岩のような精神をばらばらにせずにはおかないのである。
そのため、私たち現代の大人が第3次元で現実を意味整理するとき、ふと気づいたら、自分を包み込んで育ててくれるコミュニティという培養液のなかを漂っていた、などということはない。というより、皆承知していないけれども、私たちは水から出た魚のようなものであり、自分を漂わせてくれる環境へ向かって進まなければならない。なぜなら私たちは、自分を漂わせてくれる環境に生まれ、その環境に支援されているわけではないからである。
現代世界はさまざまな要素から成り立っている。私たちを迎えてくれるマインドのコミュニティにしても多様な形があり、互いに異を唱え合っている。第4次元へ向かうための外部からの助言は、自動的に、途絶えることなく、あるいはスムーズに得られるものではないのである。
