親の年金に生活を頼りきる「中年の子ども」。その背景には家庭ごとにさまざまな事情がありますが、共通して訪れるのが親の老い。親への経済的依存は必ず終わりが訪れます。その前に親としてできることとは?
俺のベンツはどこだ!親の年金月33万円で暮らす「48歳の働かない息子」…何不自由のない毎日が一転、車庫から消えた愛車に狼狽「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の支援に依存する「中高年の子ども」たち

佐藤家のような事例は特殊な例かといえば、そうとは言い切れません。株式会社AlbaLinkが実施したアンケート調査『親が亡くなった時に不安なことランキング』によると、「自分の将来・生活」を不安に思うと回答した人は全体の8.4%で、第9位にランクインしています。調査では、親の支援に生活を依存しているため、親がいなくなると暮らしていけないという声も多数見られました。

 

とくに就職氷河期世代では、不安定な雇用環境や非正規雇用の増加によって十分なキャリア形成ができず、親に頼らざるを得ない人も多くいます。親が高齢化するなか、「親が子を支え続ける」という構図は特殊な家庭に限られた問題ではないのです。親が元気なうちは何とか支えられていても、いざ介護や病気、そして死が訪れたとき、支援が絶たれる子どもたちは社会的にも経済的にも孤立してしまいます。

 

現在、勇さんと洋子さんは老人ホームで穏やかな生活を送っています。勇さんは、最後に100万円を渡したことに「もっと早く自立を促すべきだったのかもしれない。私たちが息子の人生を台無しにしてしまったんです。そう思っても、結局、甘やかしてしまった」と後悔を口にしています。今はただ、達也さんが自立して生きていくことを祈るしかありません。

 

[参考資料]

株式会社AlbaLink『親が亡くなった時に不安なことランキング』