
新卒の給与アップは信賞必罰を伴った評価制度の改革につながっていく
日本では解雇が難しいという特性があります。解雇できないため、成果を挙げなくても残っている人がいたり、また大手企業の採用基準が厳しくなったりします。その結果、人材市場が硬直しがちです。しかし、信賞必罰が厳しく運用されると、それに対応できない人はどこかに出て行かざるを得なくなります。
みんなが自然に動き出すと転職回数の問題等も少なくなり、自分に合った職場を見つけるようになります。企業も雇用流動性が高くなると、一定期間みんなが傷つくように見えても、最終的には必ず労働者側が強くなり、権利関係において立場が逆転する傾向にあります。
企業は従業員に寄り添わなければ選ばれなくなります。個人を観察すると、労働者の側に有利に働くことが多いと言えるでしょう。人不足の問題も自動的に解消される可能性が高まります。
新卒の従業員に高い給与を払うことは、新卒採用で人を集め、短期の離職を防ぐためだけの話ではなく、近い将来(おそらく5年程度)に、これまで企業が敬遠してきた信賞必罰を伴った評価制度への改革に自動的につながっていくのではないか。そう予測をしています。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長