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50代男性、都内分譲マンションの一室で孤独死…
ある日、マンションの住人が「異様な臭いが日に日に強くなっている」と管理人に相談。管理会社を通じて警察が呼ばれました。鍵業者を手配し室内へ入ると、そこには強烈な異臭が漂い、薄暗い部屋の奥で姿をとどめていない遺体が発見されました。
季節は夏、死後約1ヵ月が経過。損傷が進んでいたため、死因の特定は困難でした。警察の検案書には「直接死因不詳(死後変化高度)」と記載され、発病や発傷の有無も不明。警察の捜査が終わったあとも、部屋には死の臭いが漂っています。結局、管理組合は特殊清掃の依頼を余儀なくされました。その際、管理組合が毎月徴収している管理費から鍵の開錠費用や清掃費用を立て替えることに。
この出来事から約3年後。不動産業を営む筆者は、家庭裁判所から選任された相続財産清算人の弁護士に同行し、管理人室を訪れました。
鍵を預かり、玄関へ向かうと、隙間なく養生テープが貼られ、封印された異様な玄関ドアが目の前に。軍手をはめ、二重になったテープを剥がし、鍵を差し込む。回すと静寂を破るように開錠音が響きました。扉を開けた瞬間、昼間にもかかわらず薄暗い室内の違和感と、強烈な異臭が鼻を突く。重く澱んだ空気が室内から溢れだし、一瞬逃げ出したくなる衝動に駆られましたが、一礼し、手を合わせ、意を決して中へ入りました。
亡くなっていたのは50代の男性。幼いころから両親とともに暮らし、両親が亡くなったあともマンションを相続し、そのまま住み続けていたとのこと。
室内は生活用品やゴミが散乱し、整理された形跡はありません。埃をかぶった衣類や食器、思い出の写真、土産物の小物、人形、30年前の本や雑誌など、すべてがそのまま残されていました。遺体があった部屋はかつて子ども部屋だったと思われます。二段ベッドが置かれ、床には大量のアダルトビデオやDVDが散乱。まるで十数年前から時間が止まったような光景でした。
後始末にかかる多額の費用
自宅で亡くなり、相続人がいない場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?
今回のケースでは、遺体発見から約2年後にマンション管理組合が管理費の滞納分や立替費用の回収を試みました。ざっと計算すると以下の項目が必要になります。
・鍵の開錠費用と清掃費用の立替分約70万円
・毎月かかるマンションの管理費、修繕積立金の2年分の合計滞納分60万円
・遅延損害金約10万円
しかし、相続人がいなかったため、管理会社を通じて弁護士に相談し、家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立てました。相続財産清算人とは、家庭裁判所から選任され、相続人の代わりに財産の調査・精算・管理・処分を行う弁護士や司法書士のことを指します。
最終的に、さらに1年分の管理費や遅延損害金が加算された金額を自宅マンションを売却して得た資金から支払うことになりました。
相続財産清算人は、ほぼゼロから遺産の調査を進める必要があります。そのため、自宅の室内を隅々まで調べ、郵便物や財布、タンス、仏壇周りなどを確認し、資産の手がかりを探していきます。しかし、その作業は強烈な異臭の漂う環境下で行われ、臭いが付いてしまった書類を持ち帰り、資産把握の糸口とする作業の精神的な負担は非常に大きいのが現実です。
相続財産清算人の弁護士だけではありません。今回のケースで関わった人たちは、マンションの住人たち、マンションの管理人、マンション管理会社、警察から始まり、鍵業者、特殊清掃業者、弁護士、不動産業者、遺品整理業者、リフォーム業者、購入者、そして居住する人たちにまでおよびます。これらの人たちが不安や負担を抱えながら解決に向けて進めていくのが孤独死のあとの不動産です。
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