上司に泣きながら土下座「降格してもいい。九州に戻りたい」
単身赴任で東京に異動。出世を望むなら、受け入れるべき選択でした。しかし加藤さんは自ら、出世街道を降りようとしています。
――上司と飲んでいるときに感極まってしまい、土下座してお願いしたんです「降格させてください!」と
後日、正式に降格願を提出。話し合いが何度かもたれたものの、加藤さんの意志はかたく、最終的に会社は受理してくれたといいます。降格して九州に戻る。それにより役職は下がり、基本給も減。月収は10万円ほど下がり、45万円ほどになる予定だといいます。なぜそこまでして九州に戻ろうとしたのか?
――子どもが3歳になるのですが……全然なついてくれなくて。いまだに私が帰ると不安そうに妻の後ろに隠れてしまうんです
東京と九州。自宅に帰るのは、2~3ヵ月に一度。しかも夏休みと正月休みを除き、泊まることができるのは最大で2日程度。生まれてから、父親がいないのが日常のなか、子どもがなつくわけがありません。
――40を超えたからの子だからでしょうか、かわいくてかわいくて。だからこそ、私の顔をみて泣きそうになっている我が子をみるのが、本当に辛いんです
子育ては人生で一度きりなのに、このまま単身赴任を続け、出世できたとしても大きな後悔を残す……そう判断し、妻と相談のうえ、降格願を出したのです。
――九州に戻ることが許されないなら会社を辞めるつもりでした。ただ40代での転職には不安があったので、給与は減りますが会社に残ることができてよかったです
厚生労働省の『令和2年転職者実態調査』によると、転職者の年齢別割合は、年齢が上がるにつれて減少しています。年齢があがるにつれて転職に対して消極的になるという事情もあり、40代以降で転職を成功させることは、かなり負担が大きいことがわかるでしょう。
【年齢別・転職者の割合】
25~34歳:男性 29.9%、女性 27.1%
35~44歳:男性 23.1%、女性 20.0%
45~54歳:男性 15.3%、女性 13.7%
55~64歳:男性 8.0%、女性 7.3%
月収が10万円減額しても、加藤さんが晴れ晴れとしているのは納得です
[参考資料]