米国株ファンド〈S&P500〉への積み立て投資=投資の最適解という妄信が「非常に危険」である理由【資産3.7億円の個人投資家が警告】

米国株ファンド〈S&P500〉への積み立て投資=投資の最適解という妄信が「非常に危険」である理由【資産3.7億円の個人投資家が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本株の個別株投資で資産3.7億円を実現した個人投資家のヘム氏。インデックス投資については「初心者には最適解」としつつも、S&P500などの積み立て投資への妄信には注意が必要と語ります。本記事では、ヘム氏による書籍『「増配」株投資年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』(KADOKAWA)を一部抜粋・再編集して、その理由をご紹介します。

インデックス投資には大きな危険が潜んでいるかも……

インデックス投資で過去10年くらいの成績を見ると米国株が圧倒的に好成績でした。現在、広く読まれている投資本やSNS等を見るとS&P500への積み立て投資が「投資の最適解」のように言われています。

 

しかし、私はこの考えは非常に危険だと思います。米国株のここ10年の躍進は、その大部分がGAFAM(グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト)といった巨大IT企業のイノベーションに支えられていた一面があります。

 

このイノベーションが今後も起き続けるという前提に立たないと説明できないほど米国株は現在、割高になっているように思えます。日本株と比較しても、かなり割高な水準です。

 

そのうえ、米国株投資では為替リスクも見逃せません。今の為替水準は購買力平価やマネタリーベースから見ても円安すぎる水準です。今後の為替レートを予想するのは難しいですが、円高リスクを無視することはできません。

 

松井証券のレポートによると、2024年10月中下旬のS&P500のPERは24倍です。一般的にフェアバリューと呼ばれているPER15倍に水準が訂正されると株価は約37.5%下落します。

 

ドル円の為替についてもIMFのデータに基づく直近の購買力平価では1US$=90円前後と計算されます。現在(2024/11/1)の為替は1US$=153円前後で、購買力平価からは41%も円安に振れています[図表2]。

 

[図表2]IMFの購買力平価と市場レートの比較
[図表2]IMFの購買力平価と市場レートの比較 引用元 今の為替水準が「円安すぎる」経済学的な根拠 https://toyokeizai.net/articles/-/747161?page=3

 

今からの投資人生が30年あるとしましょう。その間に〇〇ショックが10回くらいは来る可能性が高く、どこかでリーマンショックやコロナショックのようなものが来るでしょう。2000年以降で私が経験した主な暴落と下落相場を下記[図表3]にまとめています。

 

[図表3]2000年以降の暴落の歴史
[図表3]2000年以降の暴落の歴史 筆者作成

 

25年間で12回、約2年に1回〇〇ショックと呼ばれるような暴落や下落相場があったことになります。次にリーマンショックやコロナショック級の暴落が来た時に、FRBはどうしますか?

 

金利を0近辺まで下げる可能性が高いでしょう。そうなると日米の金利差はなくなり、為替は購買力平価に近づいていくと予想されます。

 

将来、S&P500が30%下落して、為替が30%円高に振れればS&P500の円建て価格はあっという間に半値です。

 

先ほど述べたようにS&P500がフェアバリューと言われるPER15倍に水準訂正されると約37.5%の下落、為替が購買力平価により決定されるレートに収束すると41%の円高、これを合わせると円建てでは約63%の下落です。

 

これはリーマンショック時の日経平均以上の下落率です。リーマンショックで多くの個人投資家が退場したことからも、これほどの下落に耐えられる個人投資家はわずかでしょう。

 

S&P500の積み立て投資を今後も長期で行っていくなら、このようなリスクは頭の中に入れておかねばなりません。

 

 

ヘム

個人投資家

 

※本記事は『「増配」株投資年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THEGOLDONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。

 

 

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※本連載は、ヘム氏による著書『「増配」株投資年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!

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