共働き世帯が増加する一方、専業主婦世帯も約430万世帯存在する日本。専業主婦世帯では、夫の収入が家計を支える基盤となるため、夫に万が一のことがあった場合の影響は容易に想像がつくでしょう。一方で、もしも妻に万が一のことがあった場合、どうなるでしょうか?
月収100万円・35歳エリート夫「無収入の専業主婦・32歳妻」の急逝でまさかの「住宅ローン破産」のワケ…“日本の430万世帯”が孕む特有リスク (※写真はイメージです/PIXTA)

収入が減少、支出は増加

妻の恵さんが残していた紙の家計簿があったため、恵さんの生前の支出と現在の支出との比較ができました。

 

孝一さんの収入は、業績連動型報酬が月50万円(年間600万円)、ボーナス年間200万円と、合計で月の収入は半分に。年間では800万円ほどの収入減という状態です。さらに配偶者控除もなくなり、住宅ローン減税のメリットも減ってしまいます。遺族基礎年金が年間で約125万円支給されますが、収入減を補うには十分ではありません。

 

大きな問題となったのは支出の大幅な増加です。食費は月8万円、日用品・衣類は月3万円増加。さらにベビーシッター代に月15万円かかるように。孝一さんは家事や育児に慣れておらず、食費や外食費が増加し、平日はベビーシッターを雇う必要があるため、支出が大幅に増えていました。

 

なかには減少した支出もあります。妻の携帯電話代月2,000円と、妻の生命保険の掛け金月4,000円、光熱費・電気料金と水道料金が合計2,000円減少、妻の交際費月3万円です。しかし、恵さんが亡くなったことで減少する支出はわずか。孝一さんは、恵さんがいかに家計をやりくりしていたのかを改めて実感しました。

 

今後、育児をしながら仕事を続け、子どもたちの大学進学費用を貯めていかなければなりません。自宅建物のメンテナンスや設備の交換、自動車の買い替えなどもあるなか、冷静になって家計から今後を見通すと、すでに手を付けている貯蓄1,500万円は10年ももたずに尽きてしまうことがわかりました。住宅ローンの支払いは厳しいどころか支払いが不可能になります。

 

孝一さんは一世一代の決断をします。マイホームを任意売却し、オーバーローンとなった分は貯蓄で完済することに。賃貸物件へ引っ越しました。

 

月収は現状50万円と少なくはないため、これといって特別な対策は必要ないでしょう。支出を抑えたら生活していくことは可能です。貯蓄も少しずつですが、できるようになるでしょう。

 

「家計のことも育児のことも妻に任せっきりだったので、食費を抑えるために料理を覚え、子どものことを優先して、できることから頑張っていきたいと思います」