10年ほど前は、シングル女性からのマンション購入の相談が多かった時期です。しかし、ここ数年で環境は一変。金利上昇や物価高の影響などにより購入をためらう人も多く……。本記事では、Aさんの事例とともに今後の住宅ローンのリスクについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
年収700万円の大手企業勤務・38歳おひとり様女性が4,000万円で「広めの1LDKマンション」を買ったワケ…FPが指摘する「老後破産リスク」 (※写真はイメージです/PIXTA)

地方都市で頑張る独身女性が選んだマイホーム

四国出身のAさんは、ある地方都市の大手企業に勤める年収700万円の48歳独身女性です。

 

大学時代から賃貸アパートに1人暮らしでしたが、10年前、自分の理想の住まいを見つけました。新築マンションの1LDKです。当時の不動産業者の営業担当者は「不動産は資産になりますよ。変動金利ももう上がらないでしょうから絶対おトクです」といっていました。セールストークにも背中を押され、思い切って購入することに。大手企業に勤務していることもあり、ローン審査も問題なく通ってAさんは自分だけのお城を手に入れることができました。

 

Aさんは、約4,000万円の部屋を頭金約1,000万円と、残りの3,000万円を30年の住宅ローンとしました。返済額は毎月約9万円(変動金利0.5%)です。

 

大きな買い物になりましたが、気持ちに張りも出て、仕事もいっそう頑張れるようになりました。この10年のあいだには、Aさん好みの花柄の壁紙に張り替え、家具を白で統一。観葉植物を育て、いかにもAさんらしい、女性の理想が詰まっているような部屋を作り上げてきました。休日は外出もせずひとりで部屋にこもって過ごすほどのお気に入りです。

 

引っ越して5年ほどは返済も順調だったのですが、ここ数年は予想もしなかったことが起きています。新型コロナウィルスの影響で会社の業績が悪化し、ボーナスが減額となったり物価が上昇したりと、余裕のある1人暮らしのAさんもさすがに将来が不安になってきました。その後会社の業績は回復したものの、今度は「金利上昇」のニュースが不安をかき立てます。

 

「金利が上がったら、返済額はどのくらい増えるのかしら?」