日本の企業の多くは60歳定年制を採用していますが、その後、希望したら再雇用で働き続けることができる、というのがよくあるパターンです。しかし再雇用を機に契約社員や嘱託社員となるため、給与は大幅減。職務内容も変わることが多く、「長年働いてきたキャリアが生かせない」とか「こんな安い給与で働いていられない」と、転職を試みる人も。しかしシニア社員の転職は、かなり厳しいものであることを知っておいたほうがいいかもしれません。
裏切られた気分です…〈月収60万円〉〈勤続38年〉、会社に尽くしてきた60歳サラリーマン、提示された再雇用後の給与額に憤慨。転職を試みて125社応募も撃沈「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

定年後、再雇用を希望も会社との面談で怒り

大学を卒業後、38年間勤めてきた大手メーカーで定年を迎えた池田哲也さん(仮名・60歳)。定年後の希望者は再雇用となり、70歳まで働くことができます。

 

【高齢者雇用の最新状況】

■企業における定年制の状況

定年制の廃止…3.9%

60歳定年…64.4%

61~64歳定年…2.9%

65歳定年…25.2%

66~69歳定年…1.1%

70歳以上定年…2.4%

 

■経過措置適用企業における基準適用年齢到達者の状況

継続雇用者…92.5%

継続雇用拒否者…6.5%

基準に該当しない社員…1.1%

 

■70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況

定年制の廃止…3.9%

定年の引き上げ…2.4%

継続雇用制度の導入…25.6%

創業支援等措置の導入…0.1%

※出所:厚生労働省『令和6年高年齢者雇用状況等報告』

 

池田さんは当初、再雇用を希望。会社との面談が行われ、そこで給与や勤務時間、職務内容など、雇用条件や労働条件などが話し合われました。その結果、再雇用で働き続けることを辞めたという池田さん。強い憤りを覚えたといいます。

 

まず、職務内容は大幅に変更になることを伝えらえました。はっきりいって、池田さんには誰でもできる簡単な仕事、に思えたといいます。そして給与。現在、月収は60万円ほどだという池田さん。60歳の定年時には退職金として、月収換算42倍の2,500万円ほどを受け取ることができます。一方、定年後にもらえる給与は25万円。現在の4割にまで減らされます。

 

そして何よりも池田さんが憤慨したのが、面接官の態度。法律で再雇用が義務付けられているとはいえ、「仕方なく再雇用を行う」という姿勢が見て取れて失望しました。「長年、会社に尽くしてきたのに……」そんな思いがあふれてきたといいます。

 

――本当は、定年を迎えた老いぼれなんて、再雇用したくないのでしょう。それであれば、人材の若返りを図りたい。わからなくもないけど、こちらは38年も会社に尽くしてきたんですよ。どこか裏切られた気持ちでいっぱいです