学校を卒業以来、会社のために頑張ってきたサラリーマン。その多くは60歳を機に定年を迎えます。そのまま仕事を続けるのか、それとも引退するのかは人それぞれですが、ひとつの区切りとして家族に「ありがとう」を伝える日でもあります。しかし、そんな言葉を届けられないケースも珍しくないようです。
今日ですべて終了です…〈退職金3,600万円〉を手に大手建設会社を去る〈60歳定年部長〉。これからは妻孝行を誓うも、自宅はもぬけの殻「これは夢なのか?」

家庭よりも仕事を優先してきました…定年部長、妻孝行を誓う

橋本和彦さん(仮名・60歳)。大手建設会社で60歳定年を迎えました。「今までお疲れさまでした」「ここまで頑張れたのは橋本さんのおかげです」など、感謝や労いの言葉とともに、大きな花束が贈られます。

 

部長として多くの社員を束ねてきた橋本さん。会社からは再雇用でこれからも貢献してほしいと打診があったものの、後進に椅子を譲りたいという気持ちから辞退。もしかしたら、再び仕事をすることもあるかもしれませんが、基本的に60歳を機に完全引退のつもりです。

 

厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業は全体の94.4%。その96.9%が一律に定年年齢を定めています。そして定年年齢で最も多いのが「60歳」。一律に定年年齢を定めている会社のうち、72.3%に達します。また単純計算、全企業の66.1%で、60歳を機に会社員は定年を迎えることになります。

 

【定年年齢】

60歳…72.3%

61歳…0.3%

62歳…0.7%

63歳…1.5%

64歳…0.1%

65歳…21.1%

66歳以上…3.5%

※数値は一律に定年年齢を定めている会社が対象

 

また一律に定年制を定めている会社のうち、勤務延長制度、または再雇用制度があるのは94.2%。再雇用制度のみがある会社は63.9%、勤務延長制度がある会社が10.5%、両制度併用の会社が19.8%。単純計算、全企業の76.5%が希望すれば再雇用制度でそのまま働ける環境を整備していることになります。

 

盛大に見送られた橋本さん。定年直前の給与は85万円。定年を機に、直近月収の42倍にあたる3,600万円ほどの退職金を受け取ります。最終的に名の知れた企業の部長にまで上り詰めることができたのは、家庭よりも仕事を優先したから。家のことはすべて妻に任せてしまっていた……そんな反省もないわけではないといいます。

 

――子どもたちはすでに独立しているので、これからは夫婦だけの生活が始まります。これからは妻孝行をしてあげないといけないですね