「受験産業が伝えない部分」を客観的に発信
――「狼侍」のアカウントを始めたきっかけについてお聞かせください。
狼侍さん(以下、狼侍):アカウントでの発信を始めたのは、子どもの小学校生活が落ち着いたころ、コロナ禍で時間があった時期です。
「稼ぎたい」「バズらせたい」という気持ちはなく、子育てに費やした経験をテーマに発信してみようと思ったのがきっかけです。当時、小学校受験の情報発信は少なく、私も「新参アカウント」として仲間入りしました。
発信を続けるなかで、受験に興味はあるけど情報が足りない家庭が多いことに気づき、アカウント運営を継続しました。
また、受験産業の情報を鵜呑みにする危険性を感じ、自分の経験をもとに「受験産業が伝えない部分」を客観的に発信する必要性を痛感しました。特に幼児期の発達を考慮しない受験の弊害を目の当たりにしたことが大きな学びでした。
――本を書いたきっかけと執筆を通して気づいたことなどがあれば教えてください。
狼侍:情報を体系化して発信するなかで、SNSや有料noteだけでは新しい読者にすべてを伝えきれないことに限界を感じていました。そんななか、出版のお話をいただき、情報を再整理するよい機会だと思いました。
執筆ではnoteを見直しつつ、新しい内容を盛り込み、特に第1章を新たに書き下ろしました。これまで断片的だった情報がまとまり、新しい読者にもわかりやすい形になったと感じています。小学校受験の分野で体系的な情報が少ないなか、少しでも役立てばと思っています。
学校選びの重要な要素
――早速、令和の小学校受験事情について伺えればと思うのですが、最近「ワーママが小学校受験に参入」という記事を見かけました。最近の小学校受験の傾向について教えてください。
狼侍:共働き家庭が増えた影響で、親の負担を減らすサポートが充実してきています。たとえば、アフタースクールや学童の設置、給食の提供など、これまで伝統的な学校では考えられなかった取り組みが増えています。
これにより、親御さんの選択肢も広がっています。また、中学受験の過熱を背景に、小学校受験でも付属中学や偏差値を意識する動きが見られるようになりました。このように、従来よりも「学力」や「サポート」が学校選びの重要な要素になってきています。