学校を卒業以来、苦しいこと、大変なことのほうが多かったであろうサラリーマン人生。ほとんどの場合、定年で区切りとなります。なかには、仕事を辞めるという選択をする人も。そのあとには想定外の事態が待ち受けていることもあるようです。
ありがとう、君たちと働けて本当によかった…「月収77万円」「退職金3,000万円」大手メーカー60歳の定年部長、一本締めで有終の美。自宅で待っていた妻からの「衝撃告白」に唖然

定年退職の夫を労う、妻と娘。穏やかな祝いの場が…

これまでは家庭を疎かにしてきた。定年まで頑張れたのは家族のおかげ。そのような思いから、大野さんは定年で退職すると決めていたといいます。

 

最後の出社日。直属の部下のほか、これまで関わってきた後輩も駆けつけて、盛大に送り出してくれたといいます。

 

――ありがとう、君たちと働けて本当によかった

 

大野さんの最後のスピーチには、涙を流す人たちも。そして最後は一本締めで、大野さんの会社人生は終わりを迎えました。我ながら有終の美……そう思いに浸りながら、急ぎ気味で自宅へ。家で待っていてくれたのは、妻のほか、すでに家を出たふたりの娘たち。定年まで勤めあげた父親を労おうと、平日にも関わらず、わざわざ集まってくれたのでした。

 

家族にも恵まれて、本当に幸せ者だ……会社ではなんとか抑えていた涙が、家族を前にして崩壊したといいます。ただ感動のシーンはこれまで。家族で大野さんの定年を祝い、乾杯。家族でお寿司をいただいていたところ、話は定年後の生活に。そこで妻から思いもよらぬ発言が飛び出したのです。

 

――私、友だちとお店をやろうかと思っていて

 

家族全員が「えっ⁉」。一瞬、時が止まりました。元々、料理好きの妻。お世辞抜きで、その腕はプロ級です。そんな妻の手料理を毎日食べることができたのも、大野さんの幸せではありましたが、まさか起業とは……。店というのは、添加物を使用せず、天然素材にこだわったパン屋。小麦や卵や乳製品を使わない、アレルギー対応のものなどもラインラップして、誰もが美味しく食べられるパンを作っていきたいといいます。

 

――この年になって起業だなんて……

 

大野さんがいうと「挑戦に年なんて関係ないじゃない」と妻。

 

――これまでは全力であなたを支えてきたんだから、これからは、あなたが私を支えてよね

 

株式会社アントレによると、2023年の新設法人は約15万人。個人・法人の割合では、個人が85.2%を占め、年齢では50代が35.0%と最多。60代も15.9%を占め、60歳定年後の起業というのも珍しいことではありません。

 

サラリーマンの夫を妻が支える……日本ではよくみられる構造ですが、60歳定年を機にバトンタッチ。夫が妻を支えるというパターンも増えていくかもしれません。

 

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[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

株式会社アントレ『【2024上半期まとめ】23年の新設法人が15万人!シニア層に起業拡大 アントレ独自調査でもシニアが活況、50代の会員率が過去最多を更新』