介護を必要とする親。以前であれば、家族が面倒をみるというのが一般的でしたが、昨今は「家族には迷惑をかけたくない」という人も多いようです。そんな親心から健康なうちに老人ホームに入居する人も。しかしそんな親に対して子どもは、180度違う感情をもっていることもあるようです。
年金15万円・75歳の母「子に迷惑をかけたくない」と老人ホーム入居、5年目の悲劇。娘への深夜の電話で「もう限界」と大号泣したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

子どもに負担をかけたくない…元気なうちに介護施設へ

バブル崩壊前の1990年。家族構成としては「三世代世帯」が最も多く、全体の45.9%を占めていました。その後、核家族化が進み、2022年では全世帯のわずか7.1%。最も多いのが「夫婦のみの世帯」で全体の32.1%、次に「単身世帯」が31.8%。家族構成の変化は、親の介護に対する考え方も変えました。

 

以前は、「親に介護が必要になったら、家族で面倒をみる」というのが一般的でした。核家族化の進行に伴い、そのような考え方は薄れ、「子どもや家族に迷惑をかけたくない」と考える親世代が増えていったのです。

 

株式会社ダスキンが行った『「親のいま」に関する親子2世代の意識調査』によると、「子どもの負担になりたくないと思いますか?」と親世代に投げかけたところ、97.8%が「負担になりたくない」と回答しています。

 

岩崎幸子さん(仮名・75歳)も、「子どもの負担になりたくない」と、老人ホームへの入居を決めたひとり。岩崎さんの家族は、夫、義理の両親、そして三人の娘たちの7人家族。しかし、夫は定年を迎える前に心筋梗塞で急逝してしまいました。幸子さんが60代になるころには、子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、自宅では岩崎さんと義理の両親と3人での生活。義理の両親は穏やかで優しい人たちでしたが、2人とも軽度の認知症を患うように。真面目な性格の岩崎さんは「自分が面倒を見なければ」と他人の助けを拒み、10年以上にわたって自宅で介護を続けました。

 

介護が終わったとき、岩崎さんは70歳になっていました。ようやく自分の時間を持てると思っていましたが、長い介護生活によって腰を痛め、思い描いたような悠々自適な老後生活を実現するのは難しい……そう諦める気持ちもあったといいます。

 

自分が子どもたちの世話になる日も、そう遠くない……しかし、義理の両親の介護の経験から、同じような思いを子どもたちにさせたくない、という強い気持ちが芽生えたといいます。そんなときに目にしたのが老人ホームの新聞広告でした。

 

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