直子さんの強い後悔「会社を辞めなければよかった…」
しかし、その後、母は脳梗塞から認知症も発症し、介護は想像以上に過酷に。子ども2人は、平日は保育園に預けていますが、それでも自分の時間はないも同然です。父の食事の準備も直子さんが担い、睡眠時間を削るような生活になっていきました。
さらに、金銭的な不安が大きなストレスになっていきました。直子さんは独身時代に800万円ほど貯金をしており、それを介護費用に充てるつもりでしたが、実家の介護向けリフォーム費用や介護用品の準備などで想像以上のスピードで減少。両親の年金は月15万円ほどありますが、それ以外に資産といえるものはほとんどありません。
「子どもにはこれからお金がかかるし、私たち夫婦の老後資金だって準備しなきゃいけない。この状態で新しく仕事を探すのも難しいし、いったいどうしたら……」
あのとき仕事を辞めていなければ。直子さんは途方に暮れています。
こうしたケースでは、周囲に気を使って退職をしてしまうのではなく、介護休暇や介護休業の取得、給付金などを活用することを考えるべきでしょう。離職をすれば、収入がなくなるだけでなく国民健康保険や年金の負担もすることになり、思った以上にお金が出ていくことになります。
また、公的な介護サービスもしっかり活用を。親を思うあまり「自分ができる限り面倒を見よう」と考える人もいますが、共倒れになっては元も子もありません。
子育てと介護が重なると、先にご紹介した調査のように精神的負担、家事の負担、体力的負担、仕事との両立、経済的負担といった課題が一気に押し寄せる可能性があります。
今後、約5人に1人がダブルケアに直面する時代ですから、夫婦や親と「もしものときはどうするか」を早めに話し合いをしておくとよいでしょう。また、何かあった時には職場の担当者に相談し、離職ではなく両立する方法を模索することが、これからの時代には必要だといえそうです。
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