(※写真はイメージです/PIXTA)

下流老人、老後破産…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。自身の老後のために貯蓄したいところですが、現役世代には「親の介護」も重要な課題となっています。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』等の結果と共に、老人ホームの費用についてみていきます。

夫婦で「月16万円」年金生活の両親…老人ホーム入居を検討

中山さん(仮名)の80代の両親は、夫婦で年金を月16万円受給しています。家のローンも完済しており、比較的穏やかな生活を送っていました。しかし、高齢による体力の低下や病気のため、自宅での生活が次第に困難になってきました。

 

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は14万4,982円で、これに国民年金を合わせると多くの高齢者が月額約16万円程度の年金収入で生活しています。この金額では、日常生活費はなんとか賄えるものの、介護費用や医療費がかかると厳しくなってきます。

 

「両親は年金だけで生活してきましたが、医療費や介護サービスの利用で出費がかさむようになりました。さらに、自宅のメンテナンスや日常の買い物も難しくなり、私が手伝うことが増えてきました」と中山さんは語ります。

 

両親の状況を考慮し、中山さんは老人ホームへの入居を検討し始めました。安心して暮らせる環境と、専門的な介護を受けられることが魅力でした。しかし、老人ホームの費用について調べていくうちに、その高額な費用に驚かされることになりました。

 

総務省『家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は平均で25万959円。これに対して実収入は24万4,580円で、非消費支出(税金や社会保険料など)を差し引くと、実質的な生活費は非常にタイトです。

 

「いくつかの老人ホームを見学し、見積もりを取ったところ、月々の費用が20万円から30万円というのが一般的でした。両親の年金では到底賄えない金額です。初期費用として数百万円が必要なところもあり、まさに撃沈しました」と中山さんは振り返ります。

 

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