(※写真はイメージです/PIXTA)

再婚やシニア婚が増加している日本。長い人生、愛するパートナーと暮らせるのは幸せですが、その一方で、相続の面では、なかなか複雑な状況になることもあるようです。実情を見ていきましょう。

再婚から数カ月で、父親が急死!?

ところが、それからわずか数カ月で不幸が襲います。日葵さんの父親が行きつけのスポーツジムで倒れ、亡くなったのです。心筋梗塞でした。

 

「お父さん、どうしてこんなことに…!」

 

突然の父親の死に動揺する日葵さんでしたが、やるべきことはどんどん押し寄せ、葬儀、四十九日はあっという間に終了。その後、相続の話になりました。

 

父親の法定相続人は、現在の配偶者である後妻と、父親の実子である日葵さんの2人です。遺言書はありません。

 

「お父さんと再婚してわずか数カ月。ここはそっと身を引いてもらわなければ…」

 

日葵さんは密かにそう考えていましたが、現実は甘くありませんでした。

 

女性は「私は正式な妻ですから」「法律通りにしましょう」と繰り返し、法定相続分をきっちり主張。どんなに悔しくても、日葵さんはそれ以上言い返すことができません。

 

合計6,000万円となる父親の遺産の内訳は、3,000万円の自宅と3,000万円の預貯金です。

 

「お金はあなたに差し上げます。自宅は私が相続します。だってあなた、関西にお家があるのでしょう?」

 

そう繰り返す再婚相手に、関西在住の日葵さんは折れるしかなく、実家を泣く泣く渡すことになりました。

 

日葵さんが納得できなかったのには、父親の再婚生活が短すぎること以外にも理由がありました。

 

「あの家は私が生まれ育った家ですが、もともと母の実家なのです。母が亡くなり、それで父が相続したのです。だから、この間再婚したばかりのあの人の家になるのは、どうしても納得できない…」

 

「だから、2倍の悔しさを感じます」

 

日葵さんが歯ぎしりして悔しがる気持ちはよくわかりますが、法律とはそういうものであり、仕方ありません。もともとは母親の財産でも、父親が相続した以上、それは父親の財産です。その後、正式な配偶者となった再婚相手が相続するのは、法律上なにも問題ありません。

 

再婚カップル、シニア婚が増えた昨今、日葵さんのような割り切れない思いをする人も、出てくるかもしれません。

 

[参考資料]

法テラス「法定相続分とは何ですか。」

 

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