訴訟ファンド投資は「潜在リスク」に要注意
訴訟は時間とコストがかかる。法の下での平等はうたわれているが、大手企業と中小企業の争い、あるいは大手弁護士事務所と小規模な弁護士事務所が代理人となった場合、資金力が証拠集めや調査に影響するのは想像に難くない。訴訟に勝ち目があっても資金力で和解を選択する場合もあるだろう。
しかし訴訟ファンドを利用することにより、訴訟の費用を賄いつつ法的請求権を行使できる。企業は訴訟にかかる費用の不確実性をファンドに転嫁し、法的請求権の現金化を目指すことができるわけだ。
一方、訴訟ファンドは、訴訟に関するデータベースを活用して、訴訟の行方や勝率を予測することにより、投資効果の見極めを厳しく行い、高い精度で訴訟のコストと回収のタイミングを目指す。
もっとも訴訟ファンドが役割を果たすには、訴訟の当事者、訴訟投資家など利害関係者がウィンウィンの関係を構築できるのか、全体の調和・協調といったバランスが重要だ。
さらに流通市場で取引されず流動性が乏しいため、金融市場の動向が急変した場合でも、投資家が迅速に解約・償還を行うことが難しいなど、多様な潜在リスクにも注意が求められる。
訴訟ファンドの利用時に締結される契約は十分に吟味される必要がある。リターンは勝ち取った額の30~40%、またはかかった費用の3~4倍ともいわれ、高額に設定されることもある。
将来は、日本でも訴訟ファンドへの投資が普及し、こうした役割が認知される時代が来るのではないだろうか?
髙橋 文行
池田 祐美
くにうみAI証券株式会社
オルタナティブ・インベストメントプロダクト部
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