いい上司だと思っていても「あれ、この人いつも私の話をちゃんと聞いてくれているのかな?」部下として一度は抱いたことがあるモヤモヤした気持ち。上司が部下の話を「聞いているつもり」で、実は「聞いていない」ケースは意外と多いのです。本記事では、小川隆弘、氏による著書『成果が出る1on1 部下が自律する5つのルール』(ごきげんビジネス出版 ブランディング)から一部を抜粋・再編集し、1on1ミーティングで上司が陥る4つの落とし穴について解説します。
いい上司だと思っていたのに…部下の話を「聞いているようでまったく聞いていない」残念な上司の特性、4つ (※写真はイメージです/PIXTA)

上司の誰もが陥る4つの落とし穴

上司がついおかしてしまう意外な傾聴の落とし穴は、次のことが挙げられます。

 

1.部下の話を途中で遮る

→無意識でやってしまっている上司を見受けます。ご自身で検証してみましょう。

 

2.部下の話を傾聴しているつもりで、頭のなかでは部下の話を判断・評価している

→上司の頭のなかでこれがはじまったら傾聴できていない証拠です。すぐに意識を傾聴に戻しましょう。

 

3.部下の話を聞きながら、その人が話しおわったあとに自分が話すことを考えている

→これも傾聴できていない証拠です。すぐに意識を傾聴に戻しましょう。

 

4.部下の話がおわった直後、すぐに上司が話す

→上司が部下の話を聞きながら自分の話すことを考えていたための反応です。部下が話しおえたら数秒程度、間を取ったほうがいいでしょう。

 

上記4点は、傾聴を意識しているつもりでも上司の頭のなかで無意識に起こってしまう場合があります。傾聴には強い意志が意外と必要です。とくに年配者は後輩への傾聴の機会が少ないため、傾聴への意志をいっそう強くもつ必要があります。

 

4点のうち2と3は、誰もが頭のなかで自動的に作動してしまいます。人間は本来、話を聞きながら次にいうことを考えている場合が多いのです。上司・部下の場合とくにこの傾向が強いでしょう。なぜなら、上意下達が浸透してしまっているからです。

「傾聴の4つの落とし穴」の回避方法

1.経験を増やす:傾聴する場数を増やす

1on1は筋トレと同じ。場数つまり経験です。継続が大事です。

 

2.事実の確認:部下の話の内容があやふやになったら確認をする

仕事の状況・背景を話す際、日本語では動詞の主語が省略されます。そのため話の内容があやふやになります。また、部下の話を聞いているとき、上司の頭のなかでは自動的に評価判断や次に話すことを考えることが起こります。

 

このような場合は、それまでの話の内容について、いったん確認してみるのも有効です。自動思考にストップがかかり、部下の話に集中でき、傾聴モードに戻れるからです。ただし、部下が熱心に語っている場合は遮らないほうがいいでしょう。