1on1の対話…製薬企業の営業所長の事例
下記にあるのは、上司と部下における1on1の1シーンです。部下のAさんは転職して1年目で、ふだんのコミュニケーションでも自分から人に話しかけない極めて口数の少ないタイプ。営業担当のなかでも100人中1人か2人しかいないほど無口な人です。そのような印象がある部下と対話している、といった視点で読み進めてください。
1on1の難易度としては非常に高い部下になります。Aさんは自分からほとんど話さないため、上司が彼に話させようと苦慮しています。なお、例文はテーマに入ってからの対話です。
上司「どう最近? 特約店でもあいさつするようになった?」
部下「あっ、はい、なんとか……」
上司「そうみたいだね」
部下「はい、けっこうふつうに話せていると思います」
上司「……」→上司は部下の次の言葉を待っている
部下「……」
20秒ほどの沈黙
上司「うううんと、まず説明会だね」→上司は話題を変えた
部下「あっ、はい」
上司「今期の目標、何回だったっけ?」
部下「えーっと……」
しばらく沈黙
上司「どう?」
部下「えーっと、あのー、4回でしたっけ?」
上司「おっ、いい線いってるね(笑)! 惜しいねー」→上司はあえて話しやすい雰囲気にしている
部下「すいません」
上司「忘れた? じゃあ、いおうか?」
部下「はい、すいません」
上司「Aさんは5回だよ」
部下「あっ、はい……」
しばしの沈黙
上司「今期は何回できてる?」
部下「えーっと……たしか2回です」
上司「どことどこの医院だっけ?」
部下「えっと、長友医院と吉田医院です」
上司「そうか……今後の見込みはどう?」
部下「久保医院は予約が取れてます」
上司「えっ? いい感じだね。どうやったの?」→成功例を言語化してもらっている
部下「特約店さんの依頼で……特約店のBさんが今月はうちの〇〇製品の対策月ということで……Bさんとお願いしてきました」
上司「よくやったね。すごいね」
部下「いえ……Bさんのおかげです……」
上司「というと?」
部下「……」
上司「久保先生は〇〇製品について詳しく知りたかったってことかな?」
部下「えっ? ……多分そうじゃないかと思います」
上司「う、うん? ……」→上司は部下が話すのを待っている