1on1が苦手と思っている上司のなかには、上司が聞きたいことを部下に質問してしまっているケースが散見されます。しかしこれでは上司が中心の1on1になってしまうでしょう。1on1を「部下のための時間」にするにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では、小川隆弘、氏による著書『成果が出る1on1 部下が自律する5つのルール』(ごきげんビジネス出版 ブランディング)から一部を抜粋・再編集し、部下にとって効果的な1on1について解説します。
上司は遮りがちな内容だが…なぜか部下が「語りたがる話題」とは?【キャリアコーチが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

部下が「聞いてほしいこと」

部下が聞いてほしいのは「努力しているプロセス」

 

[図表]1on1実施内容の時間割合

 

[図表]の1on1のテーマで、会社の話題、キャリア、プライベートについては、部下の話を遮る機会は少ないでしょう。

 

ところが、経験学習については上司のほうが経験値が高いことが多いため、アドバイス病や説明病が顔を出し、部下の語りを遮る場合が多いようです。そもそも経験学習で部下が聞いてほしいことがあるとすれば何でしょうか。それは、苦労している具体的な内容、つまりプロセスです。部下としては、自分が困難に直面していることをわかってほしいのでは? また、人は言い訳したくなるのがふつうでは?

 

よって現実に直面している課題の状況・背景を上司がしっかり聞いてあげる必要があります。これが部下が聞いてほしい話だと思うのです。そのうえで、「どうしようと思っているのか、考えている選択肢を教えてもらえる?」などと言語化を引き出しましょう。

 

では、部下が語りたい話とは何でしょうか。

 

それは自慢話、つまり成功例です。成功例にピンとこない職種ですと、「感謝された事例」などが該当します。以降の本文のなかで「成功例」と書いてある箇所は、「感謝された事例」などに置き換えて読み進めてください。

 

部下が語りたいのは自慢話(成功例)

前述したとおり、人間は本来、自分の話をするのが大好きです。自分の話をするときや、人に認められたと感じると、金銭を得たときと同じように脳の報酬系が活性化されるとのことです。つまり、「自慢話=成功例」は最高の満足感を部下にもたらすのです。部下自身の成功例を語ってもらうのがいちばん効果的になります。

 

1対1という動物にとっていちばんストレスがかかる1on1ですが、金銭を得たのと同じ報酬系が脳内で勝手に活性化されると、少しずつですが1on1に対してストレスが減り、積極的に語るようになっていきます。「自慢話=成功例」は部下の語りを引き出し、1on1に積極的にかかわってもらう最高の方法のひとつでしょう。