(※写真はイメージです/PIXTA)

9月27日に迫った自民党総裁選。9名の候補者のうち、決選投票に残るのは石破氏、高市氏、小泉氏の3氏に絞られてきたとの見方が強まっています。では、それぞれの候補者が自民党総裁となった場合、株価にどのような影響をおよぼすのでしょうか。株式会社武者リサーチの武者陵司氏が、チャットGTPも使いながら多角的な視点で考察します。

石破氏と小泉氏は経済政策の「適正解」を持っていない?

日本経済がデフレ脱却の正念場を迎えた時に、石破氏と小泉氏が経済政策に適正解を持っていないということは驚きである。

 

両氏は経済政策の設定段階で大きなミスをしてしまったといえるだろう。両氏に任せておいたら、岸田政権の新しい資本主義・積極財政・アベノミクス路線からから、新自由主義・財政再建優先・金融規律重視の反アベノミクス路線に変わるリスクが高まる。

 

2013年のアベノミクスから10年を経て、打ちひしがれていた日本の稼ぐ力は、大きく向上した。

 

日本人が稼ぐ所得総額(名目GNI)は647兆円、前年同期の630兆円比2.7%増、前々年同期の593兆円比9.1%増と鋭角的に拡大した。円安インフレの進行と、日本企業のグローバル化による海外利益急増に支えられている。名目経済成長に連動する企業利益は2.2倍、株式時価総額は3.3倍、一般会計税収は1.6倍になった。

 

しかし他方で、個人生活が取り残されてきた。実質個人消費支出は、過去10年間では、2014年3月の消費税増税(5→8%)直前の2014年1~3月がピークで、その後一度もそれを上回っていない。

 

この好調な業績・株価と低調の実質消費との乖離をどのように埋め、デフレ脱却を確実にするか、物価と賃金がともに上がる経済の好循環を実現するか、今はまさに正念場となっている。

8月の大暴落が戒める尚早の引き締め政策

7月末の利上げと、植田日銀総裁の“前のめりの金融引き締め発言”が、25%、10,500円という驚愕の「日経平均株価暴落」を引き起こした。翌週の内田副総裁の「わざわざ危ない時に利上げしない」との打ち消し発言で株価が急回復したことから、株価急落は尚早の政策転換を戒めたものであったことは明らかである。

 

にもかかわらず8月中に、植田総裁、高田、中川、田村各審議委員がこぞって、利上げバイアスのスピーチを行い、市場の疑心暗鬼を強めている。

 

日本は尚早の金融財政の引き締めが回復の腰を折り、失われた10年で済むはずが、失われた30年になってしまったという苦い経験がある。

 

日本の土地と株式を合計した国富時価総額は、1989年末に3,142兆円でピークをつけ、2002年末の1,723兆円で一旦底入れして回復に転じた。だが、リーマンショックのあとさらに下落し、2011年末に1,512兆円となった(なお、2023年末では2,410兆円と顕著に回復している)。

 

この二番底は、正しい政策を取っていれば回避できたはずである。

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】9月28日(土)開催
日本製鉄独自技術「NSスーパーフレーム工法」で実現する
長期的に資産価値が落ちない新発想の〈高気密〉〈高断熱〉賃貸マンション経営

 

【海外不動産】9月28日(土)開催
海外不動産の投資手法をアップデート!
日本国内の銀行融資を活用した「最新・ベトナム不動産投資戦略」

次ページ高市内閣が成立すれば「日経平均10万円」が視野に

※本記事は、武者リサーチが2024年9月20日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧