「手取り23万円」でお金は貯まらない
“高齢期の就労の拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰下げ制度について、より柔軟で使いやすいものとするための見直しを行います。”(厚生労働省ホームページ)
高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入などが始まりました。就業期間の延長にともない、年金受給開始時期の上限も75歳に引き上げられています(令和4年4月から適用)。
小泉進次郎氏が「年金を80歳から」と過去に発言したと話題になりましたが、これは「上限を80歳まで引き上げてもよいのではないか」というのが本旨です。
さて人生100年時代となった今、乱暴な言い方をすれば「死ぬまで働く」が現実味を帯びてきたといえます。しかし「働いてお金を貯めて将来安心!」かというと、案外そうでもないようです。
厚生労働省のレポート「令和5年 賃金構造基本調査」によると、日本のサラリーマンで、いわゆる平社員の平均給与(所定内給与額)は29万1,100円(平均年齢41.2歳、平均勤続年数10.6年)です。
月給29万円となると手取りは23万円ほど。家賃は手取りの1/3から1/4くらいが良いとされていることを考えると、7万円ほどの賃貸が最適といえるでしょう。都内周辺の1人暮らしの家賃相場は1Kなら7万~8万円ですから、都内での暮らしは問題なさそうですが、そのほかの支出を考慮すると、自由に使えるお金はわずかではないでしょうか。
最新の1世帯あたりの1ヵ月間の収入と支出を見ていくと(2024年4月~6月期)、単身世帯の消費支出は15万8,171円となっています。しかしこの数字はあくまで全国平均。都内暮らしとなるとさらなる支出は避けられないでしょう。
「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、初任給は大卒で23万7,300円。社会保険料などを引かれ、奨学金もあれば実生活は相当に厳しいものになります。
“昨年度大学を卒業したAさん。奨学金制度を利用し某有名大学に進学、社会人になるとともに都内で1人暮らしを始め、システムエンジニアとして新社会人のスタートを切った。
「毎月2万円、15年間かけて返済していく予定です。ボーナスが入ったら、それも返済に充てるつもりなので、実際はもっと短くなると思いますが」”(ゴールドオンライン連載より)