相続人の無知が生む悲劇
親族が亡くなって遺品整理をしていたら「あれ、これなんだろう…」と全く存在を知らなかった代物を発見した。そんな経験はありますか。
夫婦の間では、お互いの趣味に干渉しないこともあるでしょう。生前こそは関係性を保つための「適度な距離」が必要だったかとは思われますが、不干渉が思わぬ悲劇を生むことも……。
“夫が亡くなって1年が過ぎ落ち着いたなかで、Dさんはそろそろ部屋を片付けようと思い立ちました。部屋には夫が集めるのが好きだった茶道具や美術品が遺されています。しかし、置いたままでは整理がつかないため、インターネットで見つけた不用品回収をしてくれる業者を依頼しました。
そして、回収しに来た当日、業者はこう話しました。
「不用品回収・片付け費用は合計で〇円になります。あとは、一応こちらの焼き物や絵画は値がつきますが、まとめて5000円くらいにしかなりませんし、こちらで処分いたしますね」
そのときDさんは、部屋が綺麗さっぱりしたことで、処分した古美術品に関しては特に気にもしておらず、業者が言ったことにも疑問を持ちませんでした。しかし、それから数か月が経って、このとき、ほとんど処分価格同然で回収された茶道具、絵画が、実は100万円で取引されていたことが判明したのでした。” 『円満相続をかなえる本』より
このようなトラブルは防ぐには、相続対策が何よりも重要となります。
●財産の生前整理
●遺言書の作成
●(家族仲が悪いときは)関係性の修復(可能な限り)
「なんだ、そんなこと簡単にできるじゃないか」と思うもの。しかし、いつでもできるからこそ相続対策を先延ばしにした結果、思わぬ病気や認知症、突然の事故等に見舞われ、気づいたときには手遅れ……というケースが後を絶たないのです。
次の事例はまさにその典型といえるでしょう。