立ち返るべきは「なぜその株を買ったのか?」
売るべきか否かについてアドバイスするにはまず、あなたがそもそもなぜその株を買ったのかを知らなければならない。そのとき、目標価格としていくらを思い描いていたのか? そして何よりもまず、どうして株価が上がったのか? 言い換えると、需要が増大した理由は何か?
なぜその株を買ったのか:株の需要が増大しうる理由
株の需要が増大する理由は4つある。
需要が増大する理由その1:その企業は過小評価されていると投資家が考えたから。
需要が増大する理由その2:良いニュースがもうすぐ出ると投資家が考えるから。
需要が増大する理由その3:投資家が大馬鹿理論に従うから。
需要が増大する理由その4:投資家のセンチメントが上昇傾向にあるから。
需要が増大する理由その1:その企業は過小評価されていると投資家が考えたから。
→ある企業の株が過小評価されていると思われると、投資家は市場で、彼らが特売価格と思う価格で買おうとする。ウォール街用語で、このような投資家たちを「バリュー投資家」と呼ぶ。彼らのうち最も有名なのは、オマハの賢人として知られるウォーレン・バフェットである。
需要が増大する理由その2:良いニュースがもうすぐ出ると投資家が考えるから。
→投資家たちが宗教的とも言える熱心さで追いかける経済ニュースの種類はたくさんある。その一部として、初めての配当や増配の発表、買収の噂、買収の発表、新薬の治験の成功、重要な訴訟の決着、ウォーレン・バフェットやイーロン・マスクといった有名投資家の急な関与、形勢をがらりと変える契約の締結、新たな特許の承認、サブスク会員の急増などが挙げられる。
他にも、様々な種類のマクロ経済的ニュース――インフレ率や失業率、金利、GDP、貿易赤字、住宅着工件数などの変動――が挙げられる。
需要が増大する理由その3:投資家が大馬鹿理論に従うから。
→「大馬鹿理論」によれば、企業の株式の価値は、市場における最大の愚か者がその対価として支払おうとする金額である。言い換えると、ある株を買うべきか判断する際に、自分が支払ったよりも高い価格を支払おうとする他者が市場にいる限り、企業の本質的価値を考慮する必要はない、ということである。
株価が急激に上がっているとき、この理論はしばしば、最大の需要喚起装置として働き、新たな買い手-―馬鹿の記録を更新する馬鹿と称される――の波を次から次へと引き込む。結果として自分が最大の愚か者にならない限り、実際に愚かではないことになる。最後の愚か者が飛び込んできて自らの運命を決する前に、参入して退出するのだから、タイミングを見る目のある機敏なモメンタム・トレーダーだということになる。
需要が増大する理由その4:投資家のセンチメントが上昇傾向にあるから。
→投資家のセンチメントとは、株式市場の将来の行方についての投資家の総合的な感情や態度である。つまり、投資家は市場が上がると考えているか、下がると考えているか、ということだ。
経済状況、石油価格、誰と誰が戦争しているのか、数週間後に迫る決算報告、原料費の高騰、夜のニュースで聞いたことなど、他にも様々なことが背景として組み合わさり、投資家のセンチメントと呼ばれる集合意識を形作る。投資家のセンチメントが上昇傾向にある場合、「ショットガン効果」のようなものが生じ、それにより放たれた需要の大波が、文字通り数千種の株式の価格をその価値があるか否かに関係なく押し上げる。
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