公益財団法人、生命保険文化センターの調査によると、2人以上世帯の持家率は約7割。多くの人が手にするマイホームですが、高齢期に悩みのタネとなってしまうケースは少なくありません。一体なぜでしょうか? 本記事ではTさん夫婦の事例とともに、住宅購入のライフプラン上での注意点について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
家賃5万円の社宅でコツコツ貯金。定年後に理想のマイホーム購入!元大企業部長の夫、妻と固く手を握り合うも…75歳、ようやく気づいた「取り返しのつかない過ち」、夢破れた苦しい老後【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

賃貸か持ち家…どちらにすべきか?

「賃貸 vs. 持ち家論争」は長年続く話題のひとつです。

 

人生設計上、住まいは賃貸物件に住み家賃を払ったほうがいいのか、それとも住宅ローンを借りて家を買ったほうがいいのか。いったいどちらが「正解」なのか。日本人はこの話題が大好きです。SNSや動画サイトでも膨大な意見を見ることができます。
 

「人生の先行きなどわからないのだから、高額な住宅ローンを借りるなど自殺行為だ」
「賃貸のほうが、自由がきく。収入が下がったら引っ越しすることも可能だ」
「賃貸のほうが生涯の支出が少なく済む。その分投資に回すことで資産形成ができる」

 

というのが賃貸派の意見です。一方、持ち家派の意見としては次のようなものがあります。

 

「いまは賃貸のほうが支出は少なく済むが、定年退職したら家賃など払えない」
「賃貸は傷をつけないように気を使って生活しなければならない。子供がいると難しい」
「仕事を失ったら、賃貸審査に落ちるので安易に引っ越せない」
「老人になったら部屋を貸してくれる大家などいないだろう」
「子供たちを広い家で伸び伸び育てたほうが情操的にもいい」

 

このようにどちらも納得できる箇所のある意見であるため、結論はいつまでも出ません。答えがない問題だからこそ、「賃貸 vs. 持ち家論争」は人気の話題なのでしょう。この論争の着地点は必ず、「どっちでもいい」「人生設計による」となってしまいます。

 

「賃貸 vs. 持ち家論争」をさらにややこしくすることをいいますが、FPからは次のようにアドバイスできます。

 

・賃貸暮らしの場合は、老後の住まいを確保すること
・持ち家暮らしの場合は、老後に家を手放す手段を計画すること

 

実は多くの人が見落としているポイントがあるのです。