初対面での挨拶に苦手意識を持つ人も少なくないのではないでしょうか? しかし、この最初の関門を越えてしまえば、相手との距離は一気に縮まり、良好な関係が構築しやすくなります。キャスターや社外役員として活躍し、「伝える」プロでもある木場弘子氏が、著書『次につながる対話力~「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと~』(SDP)より、ビジネスコミュニケーションを円滑に運ぶうえで欠かせない「自己紹介」のコツについて解説します。
初対面の人とのコミュニケーションを円滑にするために必ず知っておきたい「自己紹介」のNGパターン【キャスター・木場弘子氏が助言】

印象に残る初対面へ

相手との「共感」を生み出す上で、第一歩は元気な挨拶からとお話ししました。

 

この場合、特にハードルの高いのは初対面での自己紹介ではないでしょうか?

 

今までの取引がある会社へ新しい担当として訪問する場合、あるいは先方の担当が変わった場合、さらに初めての会社への営業となるとハードルはいよいよ上がるでしょう。

 

初めての相手に、自分という人間をできるだけ知ってもらい、少しでも興味と共感を持ってほしい――とはいえ、限られた時間の中で自分の経歴を長々と話すわけにはいきませんし、背伸びした自己アピールをするというのも感心できません。

 

この場合、どうすればいいのでしょうか? ここでももちろん、最初の掴みは明るく元気にというのが基本ですが、肝心なのは続いての名刺交換の場面です。

 

ほとんどの人が単に名刺をやり取りし、すぐに「よろしくお願いします」と仕事の話に入るかと思いますが、それではあなたは単に「紙の上に書かれた名前の人」というだけに終わってしまいます。そうではなく、この一瞬を相手との関係を少しでも印象づけ、共感を生み出すチャンスにしてみましょう。

 

ここでの相手との関係というのは、どんなに些細なことでも構いません。

 

たとえば相手の名刺ひとつ取っても、そこには必ず関係を築くきっかけがあるものです。少し変わった名前の方であれば「○○○さんというお名前の方とは初めてお会いしました。どちらのお名前でしょう?」というように、何かしらリアクションをしてみます。それだけで、場の空気はぐんと和みます。最近は名刺自体のデザインも凝ったものが増え、表には会社のモットー、裏には商品・サービス情報が書かれていることも多いので、それ自体がその場の話題を提供してくれることも少なくありません。

 

訪問先の会社については最低でもHPをチェックし、ニュース欄などにある会社の最新情報を話題に出すと、先方は自分の会社のことをよく調べてるなぁ、と感心するかもしれません。また、これまでその担当の方と仕事をした同僚などに、話を聞いておくのもいいでしょう。

 

たとえば――

 

・「新しく発売された○○、さっそく食べて(使って)みました!」と相手の会社の新製品への感想を述べてみる。

 

・担当者の情報から「○○(同僚の名)に聞きましたが、大学時代は野球部のエースでプロからのスカウトもあったそうですね」と話題を振ってみる。

 

・「先月、お子さんが生まれたそうで、おめでとうございます」

 

・「○○支社におられたそうですね、あちらの□□さんには前に大変お世話になったことがあります」

 

――など、ちょっと意識すれば相手側との接点は色々広げていけるものです。