初対面での挨拶に苦手意識を持つ人も少なくないのではないでしょうか? しかし、この最初の関門を越えてしまえば、相手との距離は一気に縮まり、良好な関係が構築しやすくなります。キャスターや社外役員として活躍し、「伝える」プロでもある木場弘子氏が、著書『次につながる対話力~「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと~』(SDP)より、ビジネスコミュニケーションを円滑に運ぶうえで欠かせない「自己紹介」のコツについて解説します。
初対面の人とのコミュニケーションを円滑にするために必ず知っておきたい「自己紹介」のNGパターン【キャスター・木場弘子氏が助言】

「ひと言自己紹介」の場で避けるべきこと

しかしながら、折角の自己紹介の場も、遠慮がちだったり、右に倣えだったりで、味気ないものに終わる場面によく遭遇します。審議会の最初の回には、進行の方から「ひと言自己紹介もお願いします」と促されることもあり、そんな時は、「1分ぐらいなら話せるんだな」と心の中で準備をします。ところが、1人目の方が肩書きと名前だけだと、後に続く人もそれだけに留まってしまうのです。これは勿体無いことです。肩書きや名前は委員名簿を見ればわかります。それより、その会議の内容と自分との接点や、どういう視点で参加するのかなど、1分あれば、お伝えできると思うのです。

 

以下は、数年前に私が参加した北九州港の長期構想の会議での自己紹介です。議事録を引っ張ってみました。

 

「私と北九州市さんとのつながりというのが、まず、幼少の頃に住んでいた経験があることや、実は、夫も北九州の出身で、家の中が九州弁だったりいたします。また、北九州市さんの市政50周年の冊子で市長さんと対談をさせていただいたこともございます。こういった点で、私自身は北九州市さんに親しみを持って参りました。さて、今回は、おそらく私が国交省の港湾分科会に十数年お世話になっていたり、港湾協会さんに籍を置いていたりというところからお声がけいただいたのだと思います。私自身は北九州市、あるいは、港について地元の委員の皆さんほど詳しくありませんので、今後、色々と教えていただきながら、一緒に議論に参加していきたいと思います」

 

おそらく、これで1分未満でしょう。初めにこういった自分の情報を示しておくと、他の委員の方との雑談のきっかけができます。各々の自己紹介にあったパーツの中から自分に接点があるネタを拾って、たとえば「木場さん、○○なんですねえ。私もそうなんですよ」「今度、意見交換を兼ねてご飯でも」などという風に。

 

円滑なビジネスコミュニケーションを目指すにあたり、人とつながることがとても大切です。そのきっかけをしっかりと捕まえて、逃さないようにすることが重要となってくるわけです。人とのご縁を引き留めるためにも自分のことを語る準備をしておくことをお勧めします。

 


木場弘子

フリーキャスター