会議やスピーチ、転職活動における面接などで緊張してしまうことを悩みに感じている人も多いのではないでしょうか? フリーランスでキャスターや社外役員などを行っている木場弘子氏の著書『次につながる対話力~「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと~』(SDP)のなかで、木場氏は、その問題を解決する「ある真理」に気づいたことで、人前で話す仕事を続けられてきたといいます。今回は、緊張から解き放たれるために有効な方法について、詳しく解説します。
“理想の自分”を体現しようとするのが失敗のもと…人前で緊張せずにスピーチができるようになるための〈簡単で有効な方法〉

「緊張」から解き放たれるためのシンプルな“真理”

「多人数の会議やプレゼンの場で、いざ話そうとすると緊張で頭の中が真っ白になってしまうんです」

 

「初めての相手を前に、アガらずに話すには、どうしたらいいんでしょう?」

 

講演に参加してくださった方々から、こうした内容のご感想やご質問をいただくことがあります。

 

いえいえ、私だって今でこそ落ち着いて話しているように見えますが、TBSの新人時代はできないことだらけで自己嫌悪の毎日でした。基本的な発音や息継ぎのタイミング、それどころか自然な笑顔や笑い声を出すのさえ、どれだけ試行錯誤を重ねたかわからないほどです。

 

そんな私が、今もフリーランスとして仕事を続けていられるのは、それらの経験を通じて気づいた、あるシンプルな“真理”のお陰なのかもしれません。

 

その“真理”とは――「人間、自分を良く見せようとするから緊張する」という、ごく当たり前のこと。自分以上に見せようとして、自分で自分の首を絞めてしまっているのですね。

 

最近は、皆さんも人前で話す機会がかなり増えたのではないでしょうか。仕事上の会議やプレゼン、プライベートでは冠婚葬祭の挨拶やスピーチなど。また、就職や転職などでは居並ぶ面接官の前で話さなければならないこともあるでしょう。そうした多人数の前で話をする場面では、ほとんどの方が心臓がドキドキと波打ち、手のひらに汗、表情は強張ってしまうことでしょう。

 

頭の中に湧いてくるのは「失敗したらどうしよう」「笑われたりしないかな」などのネガティブな言葉ばかり。いざ本番が終わっても、とにかく終えた安堵とは裏腹に「ああ言えば良かった」「話そうと思ったことの半分も伝えられてない」など、自分で自分が嫌になることもあるでしょう。

 

これは全て、自分を実際より大きく見せようとすることが原因です。