人生の三大支出のひとつともいわれるマイホーム購入。いま人気の都内のタワマンをマイホームに選んだ場合、一層大きな支出となるでしょう。ところが購入後、理想と違った……と後悔する人も少なくないようです。本記事ではSさん夫婦の事例とともに、首都圏のタワマンで起きている異変について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収1,330万円の30代夫婦、ドヤ顔で憧れの「湾岸タワマン」をフルローン購入。スカイツリーを窓から眺めニヤけるも…「住人の半数の正体」に唖然【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

そこは中国人住民との関係が上手くいっていないマンションだった

どうやらマンションの住人の約半分が中国人のようなのです。マンションの中で他の人と遭遇することがないため分かりませんでしたが、偶然知り合った同じマンションの男性がそう教えてくれました。

 

「ここ、中国人が多いですよ」

 

「中国人? ああ、中国のお金持ちならこんなマンションくらい現金で買うんだろうなあ」と、夫Kさんはその程度にしか思っていませんでした。

 

きっと日本で商売をしているお金持ちなのだろう、たいしたもんだなと感心するほどでした。確かに立派な身なりをして出かけていく男性を毎朝見るのですが、携帯電話で話しているのはおそらく中国語でした。上層階に住まうリッチなビジネスマンという風情で、Kさんにとって決して悪い印象ではありませんでした。

 

しかし、数か月も過ぎるとこのマンションの違う側面に気づき始めたのです。

 

共有部のラウンジに行くと、いつも群れて大声で話す中国人男性に出会うことが増えました。太って突き出したお腹、短パンとサンダル、角刈りのヘアスタイル、絶えず携帯電話を耳に当て大声で怒っている人も……。どの人もなんの仕事をしているのか想像がつきません。若い住人もいて、このマンションをどうやって買ったのか疑問に思うことも。

 

「あの人達って、本当にここに住んでいる人なの?」と妻Yさんがうんざりしたように言います。怖くてラウンジやテラスに行きたくないとのこと。妻Yさんは、エントランスの外には煙草の吸殻が捨てられているのを見かけることが多く、あるときは中年のおじさんが盛大に地面に痰を吐く姿を目撃したことがあると呆れます。「スーツケースをガラガラ引っ張っている人も多いんだよね」同じマンションの男性にそれらのことを伝えてみると、衝撃の事実を教えられました。

 

「どうも、中国人住民が仲間を連れて来て共有部で騒いでいるらしいです。何度も注意しますが、睨まれたりあしらわれたりで改善しませんね。日本人の方とは交流しないしぎすぎすしていますよ」

 

「あと、なかには所有者の方が実際には住んでいなく、親族や友人などに貸し出して東京旅行の拠点になっているのか、ヤミ民泊なのかわからない部屋もあるようですね」

 

これが1億円近くもしたタワーマンションの実態なのかと驚いてしまいます。しかしなにか直接的な被害を被ることはありません。生活習慣の違いだけの問題だろう、偏見は差別につながりとてもよくないことだ……そう夫Kさんは考えていたのですが、さらに実務的な問題も発生していることが発覚。

 

修繕積立金と管理費の滞納をしている住民が少なくないというのです。マンションの維持管理の面でなくてはならない費用のはずですが、毎月支払うというルールを理解していないことも考えられます。また説明を受けたとしても意図的に拒否するケースもあります。

 

ただでさえ修繕積立金は高騰していくことが考えられ、滞納があるとさらに将来危機的な状況になるはずです。大規模修繕ができないとマンションの価値が下がり、リタイア後に売却することも困難になるかもしれません。

 

「これはもしかして買い物を失敗したのでは……」夫Kさんと妻Yさんはどちらも心の中でそう思っていますが、35年ローンは今始まったばかりです。

 

とりあえず、民度が低いマンションではあるけれどまだ爆発したり殺人事件が起きたりはしてないから……そう自分に言い聞かせながら、タワーマンションにあこがれを抱いていたほんの数年前の自分に戻りたい気分です。
 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表