人生の三大支出のひとつともいわれるマイホーム購入。いま人気の都内のタワマンをマイホームに選んだ場合、一層大きな支出となるでしょう。ところが購入後、理想と違った……と後悔する人も少なくないようです。本記事ではSさん夫婦の事例とともに、首都圏のタワマンで起きている異変について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収1,330万円の30代夫婦、ドヤ顔で憧れの「湾岸タワマン」をフルローン購入。スカイツリーを窓から眺めニヤけるも…「住人の半数の正体」に唖然【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

念願の湾岸タワマンをフルローン購入

<事例>

夫Kさん 35歳 メーカー勤務 年収750万円

妻Yさん 36歳 公務員 年収580万円

子供 7歳

数年前にタワマンを9,500万円で購入

 

Kさんは大手メーカーに勤務する会社員です。2年前、高校の教員をしている妻のYさんとペアローンを組み、湾岸エリアのタワマンを購入しました。

 

世帯年収は1,330万円。2人の勤務先や年収などの「属性」が金融機関から評価されたのか、9,500万円の審査が無事通過し、一生分の運を使い果たしたと思ったほど喜びました。手に入れたのはスカイツリーが遠くに見える眺望のいい部屋です。

 

夫Kさんは長野県生まれ、妻Yさんは岩手県生まれと、どちらも地方出身の夫婦にとって、湾岸エリアのタワマンは成功者の証のようなものでした。8年前に結婚したときから、意味もなく勝どきまで行きマンションも見上げては憧れを強めていたものです。地方出身の2人にとって、タワマンは自分の都会コンプレックスを埋めてくれるなにかに思えたと言います。

 

しかし、2人でまとまった年収がありながら、貯金はほとんどありませんでした。タワマンの契約をするときでさえ、口座の残高は合わせて150万円。貯金というより前の月に支給されたボーナスが残っているだけでした。2人は日常生活でも見栄を張る悪癖があり、まったくお金が貯まらないのです。

 

7年ローンで買ったベンツ、銀座を毎週走り回ってやっと手に入れたロレックス、買っただけで満足し積みあがっているバッグ……それらはすべてローンで手に入れたもの。それぞれ金利がいくらなのか考えたこともありません。浪費癖が治らないまま夫婦はフルローンでタワマンを買ったということです。

 

さすがの2人もこのままではいけないと思ったのか、ファイナンシャルプランナーに相談し、今後の資産形成を立案してもらいました。住宅ローンの返済もあるし今後はきちんと節約もして、資産運用もし、現金も貯めていこう……そう決意します。挫けそうなことがあっても、この窓からのスカイツリーを見れば笑顔になれる。夫婦力を合わせて頑張ろうと、新しい生活を始めましたのですが、入居早々にあることに気づいてしまいました。