「移住目的」の購入が増えている
投資目的のマンション購入だけではなく、実は移住目的の不動産購入が増えていることはあまり知られていません。中国ではネットスラングとして「潤(ルン)」という言葉が流行っています。これは英語の「run」をもじったもので、意味は「逃げる」です。つまり中国を脱出し他国に移住するということです。
中国政府による厳しいコロナウィルス対策、市場経済を導入しながらも自由が規制される生活、「共同富裕」とスローガンを掲げられた格差是正政策によって不当な扱いを受ける起業家など、国民の不満が高まっているのでしょう。富裕層だけでなく、迫害を受けやすい文化人や知識人、活動家、ひいては一般的な国民までもが中国脱出の方法を探っています。
移住先として人気の国は、日本です。移住した日本での住まいとして、タワマンをはじめとした不動産を購入する人が激増しているのです。
日本では在留資格や永住権がない外国人は住宅ローンを借りられないため、購入はすべて現金です。1億円をこえるタワマンを現金で購入できるのですから、必然的に富裕層だけということになります。
しかしマンションを購入できたとしても永住権がなければ移住できません。「日本で永住権を獲得するのは時間がかかり難しいだろう」とつい日本人は考えがちですが、実は抜け道として使われている制度があります。
それが「高度人材ポイント制度」です。
これは高度専門職の在留資格を有していて、学歴や年収、地位などの条件(ポイント)をクリアしていれば1年間の在留で永住権を申請できる制度です。たとえば、「博士号もしくは修士号を取得」「年収3,000万円以上」「代表取締役、代表執行役」この条件で最低限のポイントをクリアできます。
中国人富裕層のなかには海外の大学でMBAを取得している人も多く、さほどハードルが高い制度ではありません。通常は「10年以上日本に在留し、かつ、就労資格・居住資格をもって5年以上在留していること」が永住権申請の条件であるため、高度人材ポイント制度はかなりの近道といえます。
本来は高度な知識技術を持つ人材を日本に呼び込むための制度ですが、悪用される懸念も指摘されています。