嫁姑の関係
Yさん夫婦は、会社員の夫が55歳、パート勤めの妻は50歳です。Yさん夫婦に兄弟はなく、夫には母、妻には両親が健在しています。Yさん夫婦の馴れ初めは、夫は大学卒業後、大手企業に勤めていた際、同企業に妻がアルバイトで働いていたのが、きっかけ。上司と部下という関係から交際に発展し、結婚に至りました。
妻は幼いころに大病したことがあり、日常生活に支障はありませんが、子どもを産むには体力的に難しいかもしれないといわれていました。結婚を決めた際は、夫の両親に子どもを考えていないことを話すと、反対されました。「一人息子の子(孫)の顔をみるのが楽しみだったのに」と散々嫌味をいわれた経緯から、疎遠な関係となっていました。
Yさん夫婦は都内近郊に一戸建ての家を購入し、ローンもすでに夫婦力を合わせて完済しました。夫が50歳を過ぎたころ、友人のファイナンシャルプランナーから、「あなたのところ、奥さんとお母さんが不仲といっていたじゃない。万一のことを考えて遺言書を作っておいたほうがいいと思う」といわれました。夫は遺言書なんて金持ちがやることと思い込み、これまで思いつきもしなかったそうです。しかし、これまでともに歩んできた妻を自分がなにかあったときに困らせたくないという思いから、夫は遺言書の作成を決意します。
遺言書の中身は、自身が亡くなったときはすべての財産を妻に相続させるというものでした。夫は嫁姑の関係がよくないことをよくわかっていたのです。
そして5年後、夫は脳梗塞で本当に帰らぬ人となってしまいます。
急死の知らせに、義母はYさんに対し、慰めるどころか「あなたと結婚しなければ、こんなことにはならなかった」と繰り返し罵声を浴びせました。妻は夫の突然の別れと、義母の罵声に妻は憔悴します。