セキュリティ専門人材としてキャリアを積むリスク
一部のトップ・オブ・トップのセキュリティエンジニアは別としても、現在のセキュリティ専門人材は現在自分が関わる領域で生き残っていけるとは限らないように思われます。
特定スキルに偏重したキャリアでは、供給過多になったり時代遅れになったりする恐れがあり、生き残るためには、常に変化する状況へ対応するスキルを獲得し続けなければなりません。幼少期からデジタルに慣れ親しんだ世代との考え方のギャップも、セキュリティ専門人材の寿命に影響するでしょう。
また、脳の情報処理は18~19歳、短期記憶は25歳、他人の感情を予測する能力は40~50代、結晶性知能は60~70代がピークとも言われており、年齢とともに発揮できる能力は異なります。このような理由から、専門人材が関わる領域は変化していくはずです。
キャリアの積み上げではなく場合によってはキャリアチェンジを
では、どのようなキャリアパスが考えられるでしょうか。プラス・セキュリティの説明で使用した[図表7]では、セキュリティ専門人材は実務者・技術者層に位置づけられていますが、領域を広げてマネジメントに関わったり事業部門と関わったりすることが必要になってくるでしょう。
セキュリティ専門人材は、従来の「IT」と「セキュリティ」の関係以外に、DXに関わるさまざまな組織や人材との結びつきができるため、「コミュニケーション対象が変化」するとも言えます。
たとえば、ソフトウェアエンジニアだけでなく、デザイナー、ビジネスアーキテクト、データサイエンティスト、AIエンジニアなどとのコミュニケーションが発生します。そうなると、今までの知識、スキル、経験の積み上げは通用しにくくなります。
これは著者自身や業界の知人を見ていても、積み上げの連続だけではつまずいてしまっている感覚があるからこその指摘です。場合によってはキャリアチェンジが選択肢に入るかもしれません。既存の仕事の信念やルーティンをいったん棄却し、新しいスタイルを取り入れる「アンラーニング」を人材育成に適用がすることが効果的だと思われます。
また、関係者が増えることで衝突の機会も増えるため、組織内での対立をポジティブに捉えて問題解決を図る「コンフリクトマネジメント」の能力を育成することも効果的でしょう。
淵上 真一
日本電気株式会社(NEC)
Corporate Executive CISO兼サイバーセキュリティ戦略統括部長
NECセキュリティ取締役
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