「キャリア」と「企業のニーズ」が一致しない…働きたい高齢者の実情
65歳。年金をもらえるタイミングなので、ここで多くのサラリーマンは、さらに働くか、それとも年金生活に入るかの二択に迫られます。昨今は、将来不安も大きく、「元気なうちは働きたい」「生活費の足しにしたい」などと、年金をもらいながら働くケースも増えているようです。
男性も「家にいても邪魔者扱いされるだけなんで」と、再就職をのぞんでいるといいます。65歳、仕事をやめる直近の月収は35万円ほど。「ここまで稼げなくてもいいから」と、だいぶ条件を下げて職探しをスタート。まずはシニア向けの人材紹介サイトを通して仕事を探してみましたが、なかなか書類選考を通らず。通ったとしても面接を突破できない日々が続いたといいます。
インターネットで仕事を探していては再就職ではダメかもしれないと、ハローワークへ。「ここなら何かしら仕事が見つかるだろ」と高をくくっていたといいます。デスクワークを希望していた男性(というよりも、それ以外経験がない)。しかしハローワークで言われたのは、
――厳しいですね
――交通整理とか、工場のラインとか……色々と申し込んでみませんか?
高齢者のデスクワークがないわけではない、ただ競争率が高過ぎる、だからもっと選択肢を増やしましょう、ということのよう。ただ元金融マンで、最高月収は60万円、世の中でいうエリート街道を歩いていたというプライドもあり、「何でもいいから仕事を……」とは言えません。
――銀行でも「お前は役に立たないから」と出向させられ、出向先でも「役に立たない」と烙印を押され、定年後はそのまま再就職はできず関連会社に飛ばされ、さらにハローワークでも……もうメンタルが崩壊しそうです
来年から65歳までの雇用確保は義務化となり、さらに70歳まで働ける環境整備が進んでいます。しかし高齢者の働きたいというニーズと企業側の思いが一致しているとは限らず、多くの人が希望するデスクワークの競争率はかなりの高倍率となっています。
――せっかくのキャリアを活かすことができない
働く高齢者が増えるなか、ニーズと実情をいかに一致させていくか、難しい問題です。
[参照]