父から継いだ「18億円の法人所有不動産」を現金化したい…手残りが「6億円」増えた驚きの理由。“不動産売買”以外の選択肢【不動産鑑定士が解説】

父から継いだ「18億円の法人所有不動産」を現金化したい…手残りが「6億円」増えた驚きの理由。“不動産売買”以外の選択肢【不動産鑑定士が解説】

企業の合併や買収の際に使われるイメージがある「M&A」。しかし昨今、法人所有の不動産を譲渡するひとつの手段として「不動産M&A」が注目を集めていることをご存じでしょうか。なかには、不動産M&Aを活用することで単なる不動産売買と比較し、税負担・手残りに大きな差が出るケースも。本稿では法人所有の不動産の売買に悩むA氏の事例から、不動産M&Aを活用する場合と宅建業法に則り売買する場合の2つを、フジ総合グループ・株式会社フジ総合鑑定の大阪事務所所長の住江悠不動産鑑定士が比較・解説します。

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特例税制「経営資源集約化」の利用も

不動産売買は、不動産の売却益に対して法人税がかかり、また分配する配当金にも所得税がかかります。一方、不動産M&Aは、不動産の株式譲渡益に対して譲渡課税が課されるのみとなるため、不動産売買と不動産M&Aでは税負担に大きな差がでることがわかります。

 

また、いまなら買い手側は「経営資源集約化税制」という税制特例を活用することが可能です。この制度は、事業承継税制における一定の要件を満たしたうえで計画に沿ってM&Aを実施した場合、投資額の70%以下を準備金として積み立てでき、その全額を損金算入できるというものです。

 

M&A実行後に発生する簿外債務等のリスクに備えるための制度ですが、仮に譲渡の対象が資産管理会社(不動産賃貸業)であれば、簿外債務や訴訟などのリスクを取得する可能性は極めて小さいといえるため、不動産M&Aは買い手側にとっても非常に大きいメリットのある制度といえるでしょう。

 

不動産M&Aは、一般的なM&Aで必要とされる高度な知識や交渉力、適切な手続きに加え、不動産の適正な評価や適切な株価の算定を行う必要があるため、税理士や不動産鑑定士などの専門家による多面的な視点が欠かせません。不動産の売却をご検討の方は、不動産M&Aも視野に入れ、専門家に相談することをおすすめします。

 

 

住江 悠

フジ総合グループ 大阪事務所 所長

不動産鑑定士

 

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