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相続税の「払い過ぎ」を回避する不動産の評価術
「不動産M&A」とは?
「不動産M&A」とは、広義には不動産を所有する会社を対象にしたM&Aのことをいいます。なお本稿では、範囲を絞り、不動産のみを所有する資産管理会社(不動産賃貸業)のM&Aについて解説していきます。
一般的なM&Aの目的は、「会社または事業全体の譲渡」です。一方、不動産M&Aは「不動産の譲渡」を目的としています。譲渡の対象は不動産そのものではなく、株式譲渡の形で不動産を所有している会社ごと移転するのです。「不動産M&A」は「不動産売買」に比べ、売却後の手残りに大きな期待が見込め、またM&Aの税制優遇措置も活用できるため、不動産を譲渡するひとつの方法としていま注目されています。
では、具体的な事例をもとに「不動産M&A」と「不動産売買」の手残り額の違いについて比較していきましょう。
法人所有の不動産の売買に悩むA氏
A氏は、A氏の父親が設立した資産管理会社を承継し、不動産賃貸業を営んでいます。A氏には承継者がいないことから、法人所有の不動産を売却して現金化したいと考えています。A氏の会社の貸借対照表は以下のとおりです。なお、今回の事例では金額や税率を簡易化しています。
前提条件
・会社の株主はA氏1人のみ
・不動産の時価は18億円
・会社の株式の取得原価は3億円
・会社の株式の譲渡価額は19億5,000万円
・そのほかの資産は簿価で処分、換金できたと仮定
・不動産を売却し会社を清算した年にA氏には配当所得以外の所得はないと仮定
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