働き方改革が進むというが…40代「氷河期世代の教師」のホンネ
学校現場で進む働き方改革。しかし「実態は違う」と主張するのが、神奈川県の公立小学校に勤務する教師歴20年を超える40代男性。
以前は出勤簿に手書きという、前時代的な労務管理だったのが、昨今はICカードを使った労務管理が導入され、長時間労働に対して厳しく言われるようになったといいます。
――だからといって、業務が減ったわけではない。それなのに「労働時間を減らせ!」は無理な話。勤務時間を正確に申告人は少ないのでは?
あまりの上からのプレッシャーに、「まず定時を超えたら退勤を押す。そのほうが落ち着いて仕事ができるから」というから、本末転倒です。
さらに働き方改革は、40代、50代の教師には余計な負担になっているといいます。
――教師不足のなか、若い先生に辞められては困ります。いかに若い先生を辞めさせないか……管理職はもちろん、中堅より上の世代の教師にとって命題になっています
――「いまの若い人はワーク・ライフ・バランスが大事だから」と、仕事を肩代わりすることはよくありますね。私たち、40代、50代の教師だってワーク・ライフ・バランスは大事。「なぜ若い教師の代わりを私たちがしなければならいのか……」と憤りを感じますが、若い人に辞められてしまってはもっと大変。業務を負担せざるを得ないんですよ
多くの学校で同様の傾向があるのか、前述の在校等時間の変化を年齢別にみていくと、「20代」では46分減、「30代」では33分減、なのに対し、「40代」は22分減、「50代」は19分減と、明らかに年齢が上がるにつれて時間の減少幅は小さくなっています。若い先生に気を遣う実態が垣間見ることができます。
このような世代間ギャップに憤りを隠せない男性教師。
――私たちが教師になったのは就職難の時代。10倍以上の倍率をやっとの思いで突破して教師になりました。最近は「先生になりたい」といえば先生になれる状況。さらに「早く帰りたい」と言えば気を遣ってもらえる。この時代に先生になりたかったと思ってしまいますよね
就職氷河期。最もヒドイときは、大卒の有効求人倍率が1.0を割り込み、希望しない仕事でもせざるを得ませんでした。また、ハラスメントへの認識が甘かったため、いまでは考えられないような叱責を受けることも日常茶判事。そんな時代を耐え抜いたかと思えば、「若い人に代わって」と負担を強いられる……「結局、割を食うのは、私たちの世代なんですよ」と、どこかで聞いた声が、教師の世界からも聞こえてきます。
[参照]
文部科学省『教員勤務実態調査(令和4年度)(確定値)について(財務課)』