長寿化が進むなか、高齢者の働き方に変化が起き、「いつまでも働きたい」というニーズに応えてくれるようになっています。しかしそれにも限界はあるようで、「働きたくても仕事がない」と困窮する高齢者も。みていきましょう。
会社「更新しません」に年金月5万円〈80歳・警備員〉の絶望「働かないと生きていけない…」八方塞がりの高齢者を救う公的サポート (※写真はイメージです/PIXTA)

仕事が見つからず生活苦に直面「80代無職の男性」を救うサポート

生活苦の高齢者をサポートする制度はいろいろとありますが、前出の男性の場合、まだ働く意思があるので、失業保険がもらえるかもしれません。失業手当では1日当たりの金額=基本手当日額。まずはハローワークに行って手続きをするのが第一歩です。

 

働くことができない、と判断されたら、生活保護を受けられるようになるかもしれません。生活保護は生活保護法により、憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障するもの。生活保護を受けるためには、「資産の活用」「能力の活用」「あらゆるものの活用」、さらに「扶養義務者の扶養」も期待できない場合に認められます。

 

仮に男性が東京23区に住んでいるとしましょう。生活保護費は最低家賃にあたる住宅扶助基準額含めて12.5万円ほど。そこから年金月額5万円を差し引いた7.5万円ほどが支給される可能性があります。

 

さらに生活苦に直面する高齢者のサポートとして覚えておきたいのが「年金生活者支援給付金制度」。「①65歳以上の老齢基礎年金の受給者」「②同一世帯の全員が市町村民税非課税」「③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が878,900円以下」と、これらの条件を満たしていると、月額5,310円を基準に、保険料納付済期間等に応じた給付金が支払われます。

 

月々数千円のサポートではありますが、収入が限られてくる年金生活者にとってはとてもありがたいもの。対象者には日本年金機構から緑色の封筒に入った申請ハガキが届くので、必要事項を記入のうえ、返信すればOK。手続きした翌月分から支給の対象となります。

 

ほかにも、高齢者を対象とする給付金や支援金はさまざま用意されています。年金の増額は見込めず、一方で物価高が進むなか、八方塞がりな状況に陥る高齢者は今後ますます増えていくでしょう。手遅れになる前に、早めに行政に相談するのがポイントです。

 

[参照]

厚生労働省『雇用保険制度』

厚生労働省『年金生活者支援給付金制度について』

厚生労働省『生活保護制度』