誰もが訪れる「親の死」。悲しみに包まれるなか、相続税の申告などのために「遺品整理」を行う必要があります。そのとき思わぬものを発見し、仰天することも珍しくないようです。
年金18万円・実家でひとり暮らしの〈72歳父〉急逝。思い出に浸りながら「遺品整理」の〈40代の子どもたち〉が目撃した「亡父の別の顔」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化と共に「おひとり様の高齢者」が増加

高齢化と人口減少が進むなか、高齢者人口は1950年以降、初めて減少に転じました。一方で、総人口に占める高齢者の割合=高齢化率は29.1%と過去最高を記録しています。また、75歳以上の人口は2,000万人を突破し、10人に1人が80歳以上となっています。

 

高齢化とともに増えているのが、ひとり暮らしの高齢者。厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』によると、2023年の高齢者世帯(1人以上、65歳以上の高齢者がいる世帯)は1,656.0万世帯。そのうち単身の高齢者は855.3万世帯です。

 

男女別にみていくと、男性の単独世帯は304.2万世帯、女性の単独世帯は551.1万世帯。これは平均寿命の差。2023年の平均寿命は男性81.09年、女性87.14年。男性のほうが年上の夫婦が多いこと、そして男性のほうが短命であることから、ひとり暮らしの高齢女性が増えています。

 

高齢者のひとり暮らしが増えるに従い増えるのが、そんな親を心配する子どもたち。「高齢の親が実家でひとり暮らしをしているんだが、大丈夫だろうか?」というものです。若いころは何ともなかった段差や階段が、高齢者にはきつく。また「火の元はちゃんとしているだろうか」「鍵はちゃんと閉めているだろうか」「ひとり病気で倒れていないだろうか」など、心配はつきません。

 

一方で親にしても「子どもに心配されるほど年老いていない」と子どもの心配に対して腹を立てたり、「子ども家族に迷惑をかけるのはしのびない」と頑として子どもたちのサポートを拒否したりすることも珍しくありません。

 

小林聡子さん(仮名・45歳)も、実家でひとり暮らしをしている父親を心配するひとり。小林さんは、2つ下に妹、3つ下に弟の3人きょうだい。みんな結婚し、それぞれ家庭を持つています。母親は20年ほど前に他界。10年前には末っ子の弟の結婚が決まり、実家を出ていきました。

 

――ひとり暮らしも快適だよ

――ひとりなら年金だけで十分に暮らしていけるし

 

年金は月18万円。手取りだと15万~16万円程度でしょうか。確かに、趣味らしい趣味も聞いたことがない父親なら、それで十分に暮らしていけそう。しかしもともと腰が悪く、階段の上り下りも大変そうなのをみては、同居を提案してきたという小林さん。ところが父親は「お互い気を遣う生活のほうがイヤだろう」と首を縦に振ることはなかったといいます。