(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層に関するお金の問題解決にあたってきた江幡吉昭氏の新著『インフレ時代の投資術』(出版社名)より、著者の承諾を得て、いくつか内容を抜粋しご紹介していきます。

投資に絶対はない…「勉強の際」肝に銘ずべきこと

○勉強したら必ず儲かるわけではない

 

顧客と面談していると良くある光景が「わかりました、ではもう少し投資について勉強してみますね」という言葉をよく頂く。しかし、投資が難しいのは勉強したら必ず儲かるわけでもないし、学生時代に行った勉強と異なり、「投資は正解がない問題」である。

 

この2つを肝に銘じたうえで、勉強すべきと考えている。「正解がない問題」というのはどこで切り取るかによって儲かることもあれば、儲からないこともあるからだ。日経平均株価を想定してほしい。

 

皆さんご存じの通り、日経平均株価の値動きは上昇することもあれば下落することもある。1990年代に35,000円以上で日経平均株価を買った人は30年以上も塩漬けになってしまった。途中で心折れて売却した人も多いだろう。

 

一方で我慢して保有した人は15%程度上昇していると思う。1990年代からの10年で切り取ると儲からないものであり、1990年代から20年で切り取るとこれも儲からないもの。1990年代から30年で切り取ると儲かるものになる。つまりどこで切り取るかによって儲かる儲からないは異なるのである。

 

また、勉強時間に比例して投資の能力が付くものでもない。例えば数多く出版される投資本も「投資で成功したから書いた」というよりは「投資で儲かるというテーマの本を売って儲ける」というのが本当のところである。

 

もしくは本当に100万人に1人いる投資の天才が自分の感覚的なノウハウで書いた本だったりするので「本に書いてあった通りやっても」儲からない。つまるところ、投資の本を100冊読んだら投資に成功するかというとそんなことはない。

 

ただ、本によって得ることもあるので、投資の本を読むならば最近出版されたハウツー本ではなく、「ウォール街のランダムウォーカー」や後ほど紹介するジェレミーシーゲルの株式投資をはじめとして、何十年も生き残ってきた投資本の定番を読むことをおススメする。

 

そして、絶対儲かる手法というのはなく、投資の世界では市民権を得ている「テクニカル分析※」を重用される人も多いが、占いと大差がなく、当たることもあれば外れることもあり、それだけで資産を増やし続けることは不可能である。

 

※テクニカル分析とは、過去の値動きをチャートで表して、そこからトレンドやパターンなどを分析し、今後の株価や為替などの値動きを予想するもの。

 

テクニカル分析は言わば、「その後ろ向きに歩くことの軌跡を分析するだけ」と考えた方がいい。

 

メジャーなテクニカル分析は、「みなが見ているが故に、時としてテクニカル分析がピタッとハマる時はあるものの、それが永久に続くわけではない」。

 

また自動売買も同様で、投資や株や為替の値動きは「海の波」と同じで、波のパターンはある程度分析できるが全く同じ波がずっと続くことはない。一定の法則に従って勝ち続けることはあるが、どこかでその波は過去と違うパターンになって最初は勝率100%でも、最初の一敗をしたころから波が狂い始めるが、その法則で勝ち続けていたので次は勝つだろう、次は勝つだろうと思いながらすべての利益を吐き出すまで負け続けるということになりがちである。つまり90勝10敗の高確率で勝利し続けるも、最後の10敗ですべてを失うことが多い。

 

よって、投資に絶対はないというのは鉄則である。

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