新卒採用において、優秀な学生を獲得しようと、多くの企業が初任給を引上げ。他社が上げるなら我が社はそれ以上に……そんな熾烈な競争が繰り広げられています。一方で企業としても全世代で給与を引き上げるほどの余裕はなく、一部の人にしわ寄せが……みていきましょう。
ふざけるな!月収50万円「46歳大卒サラリーマン」大激怒…「新卒社員」給与引上げの犠牲になる「氷河期世代」の哀れ

2024年の新卒初任給…2007年以降、最大の伸び率を記録(連合調べ)

日本労働組合総連合会(連合)による『2024春季生活闘争 中間まとめ』によると、「人材確保のために初任給を大幅に引き上げる傾向にある」といいます。

 

傘下労働組合の企業側回答をまとめたところによると、大卒事務技術職において初任給の増加率は、平均5.68%(1万2,301円増)だといいます。これはデータを公表している2007年以降、最大の伸び率だとか。

 

業種別で最も大きかったのは、飲食店などを含む「サービス・ホテル」。改定前21.75万円から24万円と、10.34%の上昇。「製造業」は5.74%、百貨店やスーパーなどの「商業流通」は5.18%、「情報・出版」は3.04%上昇しました。

 

企業規模別にみていくと、「従業員数1,000人以上」で6.43%、「従業員300~999人」で5.68%、「従業員100~299人」は5.39%、「従業員99人以下」では4.43%の上昇でした。

 

また厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大学新規学卒者の平均月収は24.03万円。「従業員1,000人以上」で24.57万円、「従業員100~999人」で23.80万円、「従業員10~99人」で22.98万円。そんな給与が、その後、どのように増減していくかをみていくと、企業規模により月収では最大13万円程度、年収で最大300万円程度の差が生じるようになります。

 

【年齢別・大企業と中小企業の月収と年収の推移】

20~24歳:24.7万円(370.3万円)/23.6万円(328.6万円)

25~29歳:29.2万円(518.2万円)/27.2万円(409.6万円)

30~34歳:35.3万円(626.5万円)/30.2万円(466.8万円)

35~39歳:41.4万円(753.4万円)/34.0万円(528.9万円)

40~44歳:46.7万円(810.0万円)/37.7万円(582.3万円)

45~49歳:50.8万円(882.2万円)/42.2万円(652.6万円)

50~54歳:56.8万円(988.8万円)/43.1万円(653.0万円)

55~59歳:58.3万円(1,009.7万円)/45.2万円(676.5万円)

60~64歳:48.7万円(801.2万円)/39.4万円(578.1万円)

※数値左より、大企業平均月収(年収)/中小企業平均月収(年収)

 

今回、連合の調査では大企業と中小企業で2ポイント程度の差が生じました。これにより、ますます大手と中小で給与格差が広がる可能性も指摘されています。カギを握るのは、大手の賃上げの流れが、中小にもさらに広がっていくのか……注目です。