原則、65歳から受け取ることができる、日本の公的年金。しかし少子高齢化が加速度的に進むなか、時代に即した制度を模索。年金制度改革の議論が進んでいきます。遠くない未来、年金制度の“原則”が変わるかもしれません。みていきましょう。
「高齢者65歳→70歳に変更」「年金は!?」「70歳以上」「えっ!?」…月収40万円・42歳のサラリーマン〈年金受取り〉5年先延ばしの未来

平均的なサラリーマンなら「65歳から年金月17万円」のはずが…

日本の公的年金は、65歳からの老後を支える「老齢年金」、障害を負った場合に受け取れる「障害年金」、生活を支えていた人が亡くなった際に遺族が受け取る「遺族年金」の3つがあります。

 

また日本の年金制度は国民年金と厚生年金の2階建て。1階部分の国民年金には、日本に住む20歳以上の人の全員が加入。2階部分の厚生年金には、会社員や公務員などが加入。2階部分の厚生年金に加入する人は、同時に1階部分の国民年金にも加入しているので、より厚い給付を受けることができます。

 

日本の公的年金制度は、「積立方式」ではなく「賦課方式」であることは知っておきたいこと。

 

積立方式は、将来自分が年金を受給するときに必要となる財源を、現役時代の間に積み立てておくというもの。一方、賦課方式は、年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方法です。

 

積立方式のほうが直接自身の保障になるので分かりやすいという意見がある一方で、積立金と運用収入の範囲内でしか給付できないため、インフレなどの社会環境の変化に弱いとされています。一方で、インフレや給与水準の変化に対応しやすいのが賦課方式。しかし現役世代と年金世代の割合が変わると、保険料負担や年金額が変わり、世代間で不公平感が生じることも。

 

欧米の年金制度は、初めは積立制度でスタートしたものの、社会や経済の変化に対応できず、賦課方式に移行したという経緯があります。世界でも少子高齢化が進んでいる日本においては、社会や経済の変化を読み解くのが困難。そのため積立方式よりも賦課方式のほうが実情にあっている、というのが専門家の見方です。

 

そんな日本の年金制度、老齢年金は基本的に65歳になると受け取る権利が発生します。厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円です。

 

一方、厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、日本のサラリーマン(平均年齢42.6歳)の平均給与は、月収で40.8万円、年収で673.6万円。仮に20~60歳まで平均的な給与を手にする、アベレージなサラリーマンがいたとしたら、65歳から17.1万円の老齢年金(老齢基礎年金6.8万円、老齢厚生年金10.3万円)をもらえる計算です。