目先の儲けに目が眩むと…
Aさんは目先の「儲け」に目が眩み、家計のやりくりのことを無視するようになっていたのです。本来臆病な性格であるはずがここまでリスクを考えなくなるのは、お金への欲なのか、老後への強い不安なのかはわかりません。間違えた知識を伝える友達の存在も、それを信じ込む心理も問題をややこしくしています。
Aさんの家計は住宅ローンの返済額が大きく、収支に余裕がありません。独身であるため、もし大病をして働けなくなったら、投資どころか住宅ローンの返済にも困ることになります。
定年退職後に借金が残り大きな負担であるため、ここをなんとかしたいと思う不安感も理解できますが、わずか10年しかない運用期間で老後資金をまかなえるほどの利益を得られるとは断言できません。家計の余裕も、時間の余裕もないのです。
Aさんがすべきことは、
・普通預金を優先する
・65歳以降にも働けるよう職場に相談する
・保険を使い病気で働けなくなったときに備えておく
というものです。そのうえでゆとりがあれば少額での積み立て投資を行い、後期高齢時期の生活資金の一助としてもいいかもしれません。
投資の情報だけが先走り、金融知識が周回遅れに
今後、投資をすべきではない、する余裕がない人までがリスクを背負う危険があります。YouTubeやSNSでは株式市場の好況が強調されることが多く、冷静な意見は見向きもされない現状があります。
目先の欲で投資行為に飛びつくのではなく、まずはライフプランニングによって自分にとって許容できるリスクと、目標とする運用成績を算出することが優先です。
無理な積み立て投資を行い早期で解約してしまうのは、金融知識が乏しく無計画であるのが理由なのです。
長岡 理知
長岡FP事務所
代表