専業主婦の同級生「ほったらかしで100万円増えた」
もともと保険会社に努めていたものの、結婚して現在は専業主婦をしている同級生Bさんは、数年前からつみたてNISAを始めたと教えてくれました。最近の株式市場によって、「ほったらかしで100万円以上増えた」と自慢しました。
「100万円? すごい!」と驚くAさん。「でも、投資なんて損することもあるのでしょう?」
Bさんは答えます。「インデックス投資なら絶対に損はしないよ」
その言葉にAさんはときめいてしまいます。老後資金に大きな不安があるし、もし投資をして絶対にお金が増えるなら住宅ローンの返済も助かるのではないか、そう思ったのです。
それからAさんは投資を始めました。ですが、もちろんすぐには増えません。そこで、投資によって「稼ぐ」方法を教えてもらおうと、職場の同僚の紹介でFPに相談します。
しかし、FPからはAさんの期待とは異なる話をされることに。現在の家計状況と、家を買った経緯、そして老後のために投資を始めたい旨をFPに伝えたところ、こんなやりとりが。
「住宅を買うのにそこまで不安感を感じて決断できなかったのに、投資はなぜそんなに強気なのですか?」
「それはもちろん、お金を増やしたいからです。老後に住宅ローンを返さなきゃいけないので」
「それはわかります。でもお金が増えるとは限りません。減ることもあります。それは不安ではないのですか?」
「減るなんてことはないと言っていました! だから心配していません」
「誰がそんなことを言っているのですか?」
「友達です」
「その方はどのような根拠で言うのですか?」
「インデックス?というのは損をしないのだと言っていました。彼女はFPの資格も持っているので間違いないと思います」
FPは一瞬無言になってしまいました。家を買うときはあれほど決断できなかったのに、なぜ投資には根拠のない情報を信じ込むほど無防備になるのか、FPには理解ができないのです。
「1万円でも増えたら嬉しいですから」とAさんが続けます。「一番儲かるファンドを教えてください」
FPが冷静に言います。
「1万円でも増えたらと言いますが、Aさんは現在住宅ローンの返済をしていますよね。3,000万円の借り入れで、25年返済、金利0.5%として利息は192万円です。今後住宅ローン金利が上がることも予想されるため、利息はより多くなるかもしれません。まずこの利息を少なくすることが優先だと思いますよ」
住宅ローン減税の期間である13年が過ぎたころ、あるいは定年退職をした時点で、繰上げ返済をし、元金を減らすことで利息の軽減ができることをFPが伝え試算しました。
65歳時に1,000万円を一部繰上げ返済すると、返済期間は約8年短縮され、利息は約66万円節約できます。金利がもし上がったとしたら、節約される利息はより多くなります。
「節約された利息を『利益』と考えると、繰上げ返済は確実に利益が受け取れる投資ともいえます」
しかしAさんは難色を示します。「たった66万円じゃ投資として面白くないです」とAさん。
「投資の目的は面白さなのですか?」とFPが尋ねますが、Aさんは、生命保険を解約してそれも投資に回したい、いまの貯金500万円も投資したいなどと続けます。それも友達のBさんがアドバイスしたとのこと。
「今後、建物のメンテナンスにお金がかかるし、自動車の買い替えもあります。病気をしやすい年齢に入っていきまし、それには現金と保険でしか備えられません。現金での貯蓄をまずは優先し、無保険にはしないでください」
Aさんは納得できないと首をひねるばかり。友達の意見を絶対的に信じ込んでいる様子。
「FPは儲かるファンドを教えてくれるのかと思っていました」と言い、失望した様子で帰ってしまいました。