80~90年代、車を持っていることが「モテる」ための必須条件だった
「アッシーくん」と聞いて「懐かしい~」と思った人は、40代以上の人でしょうか。女性にとって送り迎えだけしてくれる都合のいい男性のことを表す言葉で、1990年の流行語大賞で新語部門・表現賞を受賞しました。
――えっ! 送り迎えだけって……そんな失礼なことさせるの?
と、いまの若い人には衝撃的かもしれません。ただ当時は「アッシーくん」に代表される、都合のいい異性を表現する言葉が色々とありました。ご飯だけ奢ってくれる「メッシーくん」、複雑な配線をつないでくれるだけの「ツナグくん」、色々とプレゼントしてくれるだけの「ミツグくん」。本当にそんな都合のいい男性がいたのかは、もはや都市伝説ですが、「アッシーくん」に関しては六本木の街にズラリと送迎の車が並んでいたことから、その存在は確かなもの。とりあえず、良い車さえ持っていれば、素敵な女性とドライブできる……車には今よりもステータスがあった時代でした。80~90年代、男性にとって車は異性からモテるための必須アイテムだったのです。
一方、いまの若者についてよく言われるのが、車離れ。「普段、乗らないのだからシェアリングでよくない?」という考え方もあるのでしょう。免許さえもってない若者も増えています。
車離れを加速させた要因のひとつと言われているのが、30年近くあがらない「サラリーマンの給与」。厚生労働省の調査によると、時代が用輪から平成に変わる1989年。サラリーマンの平均月収は24.18万円。バブル崩壊後も少しずつ給与は上がり、1999年には30.06万円に達します。しかし当時の金融不況で、日本経済はますます停滞。2001年→2002年には平均月収が前年比マイナスに。さらにリーマンショックが起きた2008年には29.91万円と30万円割れ。安倍政権化で少し持ち直すも、平成の終わり2018年のサラリーマンの平均給与は30.62万円。そして最新の2023年は31.83万円。
――給与は上がらず、毎日の生活で精一杯。しかも将来は年金だけでは足りないと資産形成、資産形成と言われているし……車にお金なんてかけていられない!
切実な若者たちの叫びです。