「給与アップ」に大喜びのサラリーマンだったが、同僚のひと言で「真実」に気付くことに
――やった! 給与アップしました!
と歓喜の声を投稿した33歳のサラリーマン。なんでも月3万円ほど給与が増えたとのこと。給与アップのお祝いに、早速、同僚とともに祝杯をあげにきたといいます。
――よく「年×1万円」を上回る給与と言われるけど、やっと1万円だけ上回った!
ハイテンションがとまりません。しかしそこで同僚がポツリ
――でもうちの会社って、基本給がほとんど上がらないよな
男性は「ん⁉ どういうこと?」と思ったといいますが、よく意味が分からなかったので、その場では話をスルーしたといいます。後日、同僚の言葉が気になって、久々に給料明細にきちんと目を通したといいます。
●基本給…150,000円
●役職手当…150,000円
●その他インセンティブ…40,000円
給与明細には「時間外手当」や「通勤手当」「住宅手当」など項目があり、毎月の給与34万円に加えて、この月にはプラス3万円ほどが支払われていました。
――確かに、基本給は入社以来、ずっと15万円のままかも
働く上で基本となる給与を指す基本給。実は法的に定義されたものではないので、会社によって基本給の決め方は異なります。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(平均年齢43.6歳)の基本給は、月36.3万円。30代前半の基本給は30.7万円。総支給額は月34.9万円なので、月収としては平均的な水準ですが、基本給としては半分程度にとどまります。
――基本給が低くても給与が高ければ問題ないじゃない?
しかし基本給が低いことで生じるデメリットがあります。まず「①残業代や賞与、退職金が低くなる」ということ。これらは一般的に基本給を基準に支払われるもの。当然、基本給が低ければ、どんなに残業しても、どんなに会社の業績が良くても、残業代や賞与は低くなってしまいます。
ただし退職金は勤務年数に応じて支給額が決まっていたり、毎月の給与から一定額が応じてあらかじめ決められていたり、毎月の給与から一定の金額を積み立てたりするケースも。
さらに基本給が低いデメリットとしては「②手当のカットにより給与が低くなる」ということ。基本給は労働契約法により守られているため簡単に減らすことはできません。一方で諸手当は会社の裁量で減額したり、そもそも手当てを無くすことができます。前出の男性の場合、極端な話「役職手当を廃止します!」という会社の判断のもと、給与が半減という可能性もゼロではないわけです。基本給を上げないというのは、人件費を抑制するという企業の戦略。ただ従業員側にはデメリットがあることを十分に理解しておく必要があります。
昨今の賃上げブームで実際に給与アップでウハウハ気分の人も多いでしょう。しかし単に振り込まれた給与に歓喜するのではなく、きちんと給与明細を読み解かないと、痛い目にあう可能性があるのです。
[参考資料]