「実質賃金マイナス」記録更新も、夏ごろには「実質賃金プラス」予測
厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計調査(速報)によると、「現金給与総額(就業形態計)」は、30万1,193円で前年同月比0.6%増、「きまって支給する給与」は27万9,234円で前年同月比1.5%増、そのうち「所定内給与」は25万9,531で円で前年同月比1.7%増。いわゆる名目賃金は、確実にアップしています。しかし実質賃金は前年同月比2.5%減と24ヵ月連続で前年割れ。マイナス期間が過去最長を更新しました。賃金の上昇がインフレを下回る状態が続き、家計は疲弊。それでも今年夏以降には、春闘での高い賃上げの影響により、実質賃金がプラスに転じるだろうと、少し希望をもてる予測もでています。
ただ賃上げ、賃上げ、賃上げと、ニュースでたびたび耳にしますが、一方で、「賃上げなんて、うちの会社は関係ない」と蚊帳の外にいる人の声もチラホラ。実際はどうなのでしょうか。昨年の賃上げの状況をまとめた、厚生労働省『令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査』をみていくと、「賃上げを引き上げた(予定含む)」と回答した企業は、全体の89.1%。「改定を実施しない」5.4%、「未定」5.3%を大きく上回りました。
企業規模別にみていくと、規模が大きくなるほど、賃金を引き上げた企業は多くなります。
【企業規模別「賃金を引き上げた(予定含む)」企業の割合】
従業員5,000人以上:97.3%
従業員1,000~4,999人:93.3%
従業員300~999人:93.1%
従業員100~299人:87.4%
賃金を引き上げた(予定含む)という企業の割合を経年でみていくと、コロナ禍により一時はぐっと減少していたものの再び上向きに。良い流れになっていることは明らか。賃金に関しては悲観的な見方も多いものの、「夏ごろには……」という予測には、ぜひ期待したいところです。
【「賃金を引き上げた(予定含む)」企業の割合】
2000年:75.8%
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2005年:73.5%
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2010年:74.1%
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2014年:83.6%
2015年:85.4%
2016年:86.7%
2017年:87.8%
2018年:89.7%
2019年:90.2%
2020年:81.5%
2021年:80.7%
2022年:85.7%
2023年:89.1%