長年議論となっている「賃貸派と持ち家派、どちらが得か」というテーマ。条件などにより答えは1つではないでしょう。本記事ではAさんの事例とともに、賃貸にすべきか持ち家にすべきかの判断ポイントについて、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
年収650万円の40代地方公務員、「一生賃貸派」だったが…いまさら老後資金を回してまで「5,000万円のマイホーム」を決断したワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

賃貸を選択すべきでない人

では、賃貸を選択すべきではないのはどのような人でしょうか。

 

多くの場合、65歳時に十分な金融資産を貯められない人は、賃貸を避けるべきといえます。

 

理由のひとつは家賃の総額です。仮に家賃が月8万円だとすると老後25年間で2,400万円になります。老齢年金から8万円の家賃を支払うのは困難であるため、この金額の預貯金を用意しておく必要があります。賃貸物件の契約時に行う審査においても、無職であれば預貯金の額で支払い能力を証明しなければなりません。

 

仮に家賃が安い物件を選ぶとしても、QOL(生活の質)を大きく下げることになります。老齢年金の支給額によっては公営住宅への入居ができるかもしれませんが、そのなかでも家賃が安い住宅はエレベーターがない、駅から遠いなどの不便があるでしょう。

 

また、高齢者へ積極的に物件を貸したい大家が多くないことにも注意が必要です。孤独死によって物件価値が毀損することを強く恐れているため、特に築浅物件は現役世代に限定して貸していることが非常に多いのが現実です。

 

地方には、退職金がない、もしくは多くを望めない人が多く、現役時代に資産運用を含めた大きな資産形成が望めないと判断した場合は、家賃に充当している支出を住宅ローンとして支払っていくべきでしょう。収入が低く老後に不安があるから持ち家にすると聞くと、矛盾しているように聞こえますが、老後のための投資だと考えてみるとわかりやすくなります。

持ち家を選択すべきでない人

逆に持ち家を選択すべきではないのは、どのような人でしょうか。

 

これは、今後の生活スタイルが定まっていない人の場合です。

 

たとえば、定年退職まで遠方への転勤がある、リタイア後は実家に戻って暮らしたい、転職を予定しているためどこに住むべきかまだわからない、リタイアしたら田舎暮らしをしたいと思っている、などです。

 

将来の生活スタイルをまだ固定したくない場合は、持ち家を選択すべきではないでしょう。東京都心のタワーマンションでもない限り、売却して住宅ローンの残債を清算することは難しいケースがほとんどです。自己資金をほとんど用意せずフルローンで戸建て住宅を買った場合には有利な売却は不可能と考えていいと思います。