(※写真はイメージです/PIXTA)

経営では、結果の最大化に向け、永続を前提に結果導出と原因創造を繰り返すことが基本となります。本記事では『最高経営責任者(CEO)の経営観―夢・理想の未来を拓く実践的技術』(ダイヤモンド社)から、著者の澤拓磨氏が、経営を永続するためのポイントについて解説します。

Well-beingを発見・確立し経営を進める

経営を永続させるためにまず留意すべきポイントは、「Day0(経営を行い始める前)から必要最低限のWell-being(生涯を通じていかなる瞬間も完全に良好・満足と感じられる状態、資源)を発見・確立する」ことである。

 

対象範囲は公私に及び、自分のアイデンティティを咀嚼・反芻し、必要最低限のWell-beingを発見・確立することで、100パーセントのパワー(体心*)で経営を行い結果を最大化するための礎が創られ、現在・未来に対して余裕をもって経営を進めることができる。

本能を宿しエネルギーを空間上に発露する実体主体である「体」、本能や身体的コンディションを受け思考を進める「心」の順番でパワーをとらえている。

 

例えば、Day0から、経営における超長期的に不変のKSF(主要成功要因、Key Success Factor)を発見することに努め、Day1(経営を行い始めた初日)以降もそのKSFを進化、蓄積し続け、後世へ継ぐことが永続を生む。ローマは一日にして成らず、である。

 

複利の力を味方に付ける

 

複利とは、投資で得た利益を投資元本に加算し再投資することで、追加利益(加算利益に対する投資リターン)を生み出すことである。

 

経営では、複利の力を味方に付け、前述した必要最低限のWell-beingを元手として、経営を通じて得た経営資源(財務資本・物的資本・人的資本[自信など]・時間資本・時代資本・知的資本[ブランドなど]・情報資本・社会資本・自然資本など)を元手に加算し、再投資していくことで追加利益を得ることができる。

 

この複利の力を味方に付けることが、経営を永続させる。

 

超長期と超短期に同時にこだわる

遠い未来の経営を見据えバランスシート(BS)の観点などから経営を意識する「超長期」と喫緊の経営を追いかけ損益計算書(PL)の観点などから経営を意識する「超短期」、この相反する二つの時間軸に同時にこだわることが永続を生む。

 

超長期と超短期に同時にこだわることができていない場合、企業経営の世界でいえば、「事業の超長期的な競争優位性構築に寄与するポイントへ先行投資する」という美名に隠れて赤字決算を許容し続ける一方で、「今・ここ・この瞬間・刹那に生じたお客様のニーズを見逃さず満たすことで、お客様への貢献と業績向上を超短期的に果たすマーケティング、営業、現場オペレーション」を軽視するなどの状態となる。

 

私の経験に照らせば、超長期が得意でそれに強くこだわるCEOは、超短期が不得意でこだわりが弱い。逆に、超長期が不得意でこだわりの弱いCEOは、超短期が得意でこだわりが強い。

 

ここで気を付けなければならないのは、CEOのアイデンティティを活かしながら「超長期」と「超短期」に同時にこだわる、その方法である。超長期と超短期では、CEOの脳内で日々分泌すべきホルモン(アドレナリンなど)、抱くべき感情、組織のつくり方をはじめ、さまざまな面で大きく異なる。

 

従って、超長期を得意とするCEOが超短期に無理やりアプローチして、もともと持っている非凡さを失うことは避けたい。あくまで得意とする超長期へのこだわりを基本とし、超短期にもこだわる。この順番でとらえることが重要である点に留意いただきたい。

 

 

澤 拓磨

株式会社TS&Co.創業者兼代表取締役グループCEO

経営変革プロフェッショナル

 

※本記事は『最高経営責任者(CEO)の経営観―​夢・理想の未来を拓く実践的技術』(ダイヤモンド社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。​

 

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