(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者を亡くした場合、精神的な負担はもちろんのこと、金銭的な負担も重くのしかかってきます。専業主婦のAさんは、ある日突然最愛の夫Bさんを亡くして憔悴。さらに、夫が亡くなったことで収入も減り「老後破産危機」に陥ってしまったのでした……。そんなAさんの事例をもとに、「遺族年金」のしくみと元気なうちに実践しておきたい対策について、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが解説します。

知っておきたい「遺族年金」のキホン

Aさんは開口一番、「夫を失ったいま、このままでは楽しみもなく、お金の余裕もありません。老後の希望を失いました」と筆者に助けを求めます。

 

遺族年金の仕組みもよくわかっていないというAさんに、筆者はまず、遺族年金について下記のように説明を行いました。

 

1.遺族基礎年金の受給額と受給対象者

遺族基礎年金の受給額は、67歳以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の場合79万5,000円となり、もし子どもがいればその分加算されます。1人目と2人目の子の加算額は22万8,700円、3人目以降は各7万6,200円です。

 

ただし、遺族基礎年金を受給できるのは、18歳(障害等級1・2級の場合は20歳)になる年度までの子どもがいる配偶者(または子ども)です。そのため、18歳未満の子がいない配偶者は受け取ることができません。

 

2.遺族厚生年金の受給要件

次の1から5のいずれかの要件を満たしている場合、遺族に遺族厚生年金が支給されます。

 

1.厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき

2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき

3.1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給者が死亡したとき

4.老齢厚生年金の受給権者が死亡したとき

5.老齢厚生年金の受給資格者が死亡したとき

 

3.遺族厚生年金の受給対象者

遺族厚生年金は、死亡した方に生計を維持されていた下記の遺族のうち、もっとも優先順位の高い人が受け取ることができます。なお、遺族厚生年金は遺族基礎年金とあわせて受給できます。

 

1.子のいる配偶者

2.子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人。)

3.子のいない配偶者

4.父母

5.孫(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人。)

6.祖父母

 

遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4です。

 

なお、上記受給要件の1、2および3にもとづく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算を行います。

 

また、65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある人が、配偶者の死亡により遺族厚生年金を受け取るときは、「死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4」と「死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の1/2+自身の老齢厚生(退職共済)年金の1/2」を比較し、どちらか高いほうが遺族厚生年金額となります。

 

次ページAさんは当てはまる?…遺族厚生年金の「加算制度」

※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
※参考:日本年金機構「遺族年金の制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/index.html)

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